『ジークアクス』は『機動戦士ガンダム』の“正史”とどう関わる? 「シャロンの薔薇」の正体から考察

※本稿は『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のネタバレを含みます。
『シャロンの薔薇』のサブタイトル通り、これまで謎のオブジェクトであることだけが伝わっていたシャロンの薔薇の正体が明かされた『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』。その正体は、ララァ専用モビルアーマーことエルメスだった。
第7話での大暴れの後、ソドンに囚われてしまったマチュ。第9話では、そのマチュのソドンからの脱出、そして地球での行動が描かれた。ジオン軍によって独房に拘束され、さらにシャリア・ブルによる尋問も受けるマチュ。ニュータイプ特有の勘の良さでマチュの考えを先読みしていくシャリアの姿には、「ニュータイプってそういう使い方もあるのか……」と感心させられた。
先週のニャアンに対するエグザベの態度にもうっすら感じた点だが、今回のマチュに対するコモリ少尉やシャリア・ブルの態度も、単にコロニー内でモビルスーツで暴れた犯人に対する態度の範囲を若干超えているように思う。いずれの物言いも戦勝国のエリート軍人らしい無意識のえぐみが感じられるものになっており、特にシャリアがマチュに対して「サイド6に生まれたことを感謝しろ」と言い出すに至っては、マチュでなくとも「一年戦争の発端を作ったジオンの軍人にだけは言われたくない」と思うのではないだろうか。「スペースノイドが勝った世界では、そのスペースノイドの軍人が他の立場の人間を見下す」という点を、意識して描いているように感じた。
マチュのスマホに何者かからメッセージが届いたことで、マチュはソドンの艦内から脱走する。謎のメッセージの指示通りに逃走したマチュはGQuuuuuuXに乗り込み、ソドンのカタパルトから脱出。単独で大気圏に突入し、一路地球を目指す。大気圏突入後、マチュはコアファイターでGQuuuuuuXから離脱。どことも知れない場所に墜落する。意識を失ったマチュが目覚めたのは、豪勢なベッドの上だった。
そこからマチュが目覚めたのは娼館である「カバスの館」であること、そしてマチュが保護されたのは、ある種の予知能力を持つ元娼婦ララァ・スンの察知によるものだと語られる。そしてマチュと邂逅したララァの口から語られたのは、『GQuuuuuuX』の世界ではない世界線でのシャアとララァ、そしてアムロ・レイの存在だった。
ラストで海中から引き揚げられた「シャロンの薔薇」がエルメスであり、この機体に該当するモビルアーマーを『GQuuuuuuX』でのジオン軍は開発していないとシャリア・ブルが言っていたことからも、「『GQuuuuuuX』ではない世界線」「『正史』の『機動戦士ガンダム』の世界線」の存在は想像できるようになっている。
果たして「シャロンの薔薇」が『機動戦士ガンダム』の世界から来たものなのかはわからない。ストレートに『機動戦士ガンダム』の世界から次元を超えて『GQuuuuuuX』の世界にやってきたのではなく、一捻りされた設定があるのかもしれない。が、いずれにしろ「こういう話になったかあ……」という気持ちがある。





















