旅行ガイドブック「るるぶ」擬人化漫画の配信も JTBパブリッシング、なぜ電子コミック市場に参入?
旅行ガイドブック「るるぶ」や鉄道ファンのバイブル「JTB時刻表」の出版などで知られるJTBパブリッシングが、ついに電子コミック市場に参入した。電子コミックやWEBコミックの市場は急拡大しており、これまで漫画とは縁のなかった出版社やIT企業などの参入も相次いでいる。大手のJTBパブリッシングの参入で、さらなる競争の激化が予想される。
6月13日に配信サービス「ピッコマ」での先行配信が始まったのは、太陽の影響で地球が2年半後に滅亡するという「中途半端な時間がじょじょに世界を壊していく」世界における、男子高校生たちの心の触れ合いを描いた『滅亡までだよ笹本くん』。「お絵描き」動画の人気配信者として知られる「ばななふぃっしゅ」の坂本トウヤが作画を担当している。
JTBパブリッシングによれば、今夏には『姫ポジションは譲れない』(柿栗桃/原作、まつん/作画)、『まあるいみどりの』(なにかニナ/作)などが発信される見込み。また、小説投稿サイト「小説家になろう」の人気原作をコミカライズする『死に戻ったわたくしは、あのひとからお義兄様を奪ってみせます!』(秋月真鳥/原作、群青サシャ/作画)なども配信予定という。
そのほかの異色のラインナップとして、「るるぶ」を擬人化した『連れてって!るるぶさん』という作品も配信予定とのことである。内容を聞くだけでなかなか強烈なインパクトである。このように、電子コミックの王道ともいえる内容から、JTBパブリッシングらしい独自色の強い作品までそろっており、かなり力が入っていることがわかるだろう。
■独自色をどこまで発揮できるかがカギ

(6月30日発売/JTBパブリッシング)
JTBパブリッシングは真面目な旅行系出版社という印象だが、実は、オタク文化、サブカルチャー文化との親和性が高い。秋葉原カルチャー・萌え文化の全盛期に刊行された「もえるるぶ」は“萌え”と“るるぶ”の意外な組み合わせから大ヒットとなった。近年はゲーム『原神』やアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』などとコラボした「るるぶ」を刊行し、話題になっている。
電子コミックは戦国時代の様相を呈しているが、JTBパブリッシングがこの分野で存在感を発揮していくためには、ひとえに「JTBパブリッシングならではの強みを生かした作品作り」が求められるだろう。今後どのようにラインナップが拡充されていくか、注目される。