女児向け“推し活本”なぜ話題に? 著者・劇団雌猫に聞く、大人が知らない“子どもの推し活”のガイド本

■「光と闇」両方の側面を入れたかった

――おふたりがこの本に絶対に入れたかった点はありますか?
もぐもぐ:自分たちも大人になった今振り返ると、親に直接言われて煙たがっていたことも、第三者のオタクのお姉さんたちから言われたら、少し冷静に受け入れられることもあっただろうなと思うんです。「計画的に貯金しなさい」とか「ずっとゲームばっかしてないで」とか、正論だけど素直に聞きたくなかったですもん(笑)。とはいえ、説教くさくはならないように、推しがブログを更新したら“推し貯金”など、気が進まないこともポジティブにできるようなアイディアも考えていきました。
あとは、親になかなか推しを理解してもらえないお子さんも多いのかなと思うので、いきなりわかってもらおうとせずに、話を小出しにして、少しずつ布教していこう、など、ちょっとした戦略なども入れていきました。
ユッケ:私は推し活の光と闇をどちらも入れたいなと思っていました。グッズをたくさん集めたり、毎回コンサートに行く人ほど偉いとされがちですが、決してそうではなくて、メンバーカラーを身に着けたり、推し概念グッズを作ったり、生活のなかに推しがいることで毎日がちょっとでも楽しくなるという情報が光の面。
闇の面で言うと、推し活をする上で「公式に問い合わせたら駄目だと言われるけれど、公式もそのコンテンツの盛り上げのために目を瞑ってくれている」というような、グレーとされている部分が本当にたくさんあります。そういう具体的な事例を取り上げつつ、一緒に考えようという話を入れていきました。もちろん、私たちだけでは判断ができないので、弁護士さんに監修してもらいました。
■他人の推しを肯定することの重要性

――推し活をするなかで、友人関係が壊れてしまう話も聞きます。劇団雌猫の4人は環境や推しが違うなか、仲が良いですよね。その秘訣を教えてください。
もぐもぐ:全員が違うものが好きなので、基本的に他の人の推しを肯定することを大事にしています。それぞれ違うものが好きでも、気持ちやスタンスが同じなので、話しているとすごく面白いんですよね。誰かの推しがスキャンダルで落ち込んでいると、「私の界隈ではこんなことがあってね…」とみんなで助け合って、支え合っているのかもしれないです(笑)。
ユッケ:共通の趣味で集まった友達ではないからこそ、続いているのはあると思います。劇団雌猫と同じ時期に「推しが同じだから」という理由で仲良くなった友達は、推し変をしたことをきっかけに疎遠になってしまうこともありました。でも、雌猫のメンバーはもともと違うものが好きなので、疎遠になりようがないというか。こういう友達の作り方があるんだなと教えてもらいました。
――ちなみに、いまのおふたりの推しを教えてください!
もぐもぐ:私はtimeleszです。もともとSexy Zoneが好きで、オーディション番組の“タイプロ”もめちゃくちゃ楽しみにしていたんです。結果的にいま、ものすごく人気を集めているので、この祭りの炎を絶やさないようにしていきたいですね!
ユッケ:私はミュージカル『テニスの王子様』シリーズにあらためてハマっています。あとは、昨年『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』というオーディション番組にハマり、応援していたメンバーが無事にME:Iとしてデビューすることになったので、今後ME:Iの先輩になる人たちについても詳しくなろうとYouTubeでコンテンツを見始めたところ、INIにどっぷりハマってしまいました!
■推し活は無理せずが大事
――つねに推しが増えていくみなさん、とても素敵です(笑)。では最後にメッセージをお願いします。
もぐもぐ:人生は長いので、推し活は楽しく続けられることが一番だと思うんです。私も子どもが小さいので、なかなかコンサートに行けない時期もありました。金銭的、時間的な事情はさまざまですから、周りと比べて焦ったり劣等感を感じたりする気持ちもわかります。大人でもそうですから子どもも同じですよね。でも、結局のところ趣味だから楽しくないと悲しいじゃないですか!
推しは応援したいときに応援すればいいし、自分のテンションに合わせて応援するのが一番。なによりも、推し活は健康に続けることが大事なので、無理をせず、あくまで「自分の人生をもっと楽しくするために推し活がある」というスタンスでいるのがいいのかなと思っています。
ユッケ:私たちが子どものころって、大人になったら漫画やアニメ、アイドルなどの好きなことは卒業しなくちゃいけないという固定観念があったと思うんです。でもいまは性別や年齢、立場を問わず、多くの人に推しがいる時代。だからこそ、誰でも堂々と好きの気持ちを大切にしていいと思います。自分が知らないだけで、おもしろいものはたくさんあるので、私自身も、さらに新たな世界に飛び込んでいきたいなと思っています!





















