『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第6話にSNS騒然……『Zガンダム』キャラ登場が“自然”なタイミングだった理由

■ジークアクス、Zガンダムキャラにファン歓喜
イズマ・コロニーへのキシリアの出現を軸に、物語が大きく動いた『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第6話。ギレン派とキシリア派に分かれて暗闘を繰り広げるジオン内部に加え、サイド6の軍警や地球連邦軍の思惑も入り乱れ、その中でマチュとニャアンとシュウジの三角関係が描かれるという、大変情報量の多いエピソードとなった。
今回1番のサプライズだったのは、やはりバスク・オムとゲーツ・キャパの登場だろう。もともとは『機動戦士Zガンダム』に登場したキャラクターで、連邦軍内に結成された地球至上主義者を集めた特殊部隊ティターンズの総司令官として登場。スペースノイドを増悪する超タカ派の連邦軍士官であり、密閉環境であるコロニー内に毒ガスを撒くなど、数々の悪行を繰り広げた。
そんなバスク・オムだが、『ジークアクス』の世界では連邦軍はジオン軍に敗北している。敗軍の士官であるバスクは、日本の廃ビルに登記された「アマラカマラ商会」を隠れ蓑にし、イズマ・コロニーにゲーツ・キャパとドゥー・ムラサメ、そしてサイコガンダムを派遣。ジオン側の反キシリア派と連携しつつ、キシリア・ザビの暗殺を狙う……という役どころになっている。ようやく『GQuuuuuuX』に現れた、連邦軍側の大物キャラクターといえるだろう。
わかりやすく冷徹非情な悪役な上に「スキンヘッドで眉毛もなく、ゴーグルをつけたいかついおっさん」という見た目も強烈なバスクは、これまでガンダムシリーズの外伝的作品にそこそこ頻繁に登場している。よく知られているところでは『機動戦士ガンダム0083』で描かれたデラーズ紛争での動きがある。ここではソーラ・システムⅡによってコロニー落としの迎撃に挑むも、デラーズ・フリートからの妨害に遭い失敗。私怨によってデラーズ・フリートを友軍艦隊ごとソーラ・レイⅡで攻撃するという凶行に出る。
ほかにバスクがスピンオフ作品に登場した例としては、『コミックボンボン9月号増刊 夏休み増刊号』(1997年刊)に掲載された高雄右京のコミック『機動戦士ガンダム ハウンド・チルドレン』もある。この作品の舞台はUC0080年。一年戦争終戦から10ヶ月あまりが経過した時期となっている。『ハウンド・チルドレン』でのバスクはニュータイプ能力を持つ少年兵たちをジオン軍残党のゲリラにぶつけるという作戦を実行。ゲリラの撃退には成功したものの、少年兵たちも大きな損害を負ったことからバスクはニュータイプの能力に失望。その後ジオンの残党狩りを本格化させたバスクはゲリラ掃討部隊を母体としてティターンズを結成し、同時にニュータイプではなく強化人間の研究に力を入れ始めるという展開となっている。
ジオン兵らの描写を通じて「敵も味方と変わらない兵士であり、様々な事情を抱えている普通の人間である」という点が描写された『機動戦士ガンダム』だったが、バスクはそんなガンダムシリーズとしてはほぼ初めて登場した、「思想的に凝り固まった、冷酷非道の極悪人」だったと思う。地球至上主義でガチガチになった悪役であり、スピンオフでどれだけ極端な悪事を働かさせても「まあ、バスクだからな……」と納得してしまうキャラクター、それがバスク・オムなのである。
そんなバスクが『GQuuuuuuX』に登場するというのは、正直に書けば少々意外性に欠ける。前述のようにバスクには「UC0080年台に連邦側で悪事を働かせる際の定番キャラクター」というところがあり、「『Z』本編の外でもこんなに悪いことやってました!」という点が色々と描写されてきた人物だ。暗躍させやすいキャラクターが『GQuuuuuuX』でもやっぱり暗躍しているわけで、「え! このキャラが!」という驚きで言えば、「シャリア・ブルが準主役として大活躍している」という状況の方がずっと異常である。