『地獄先生ぬ~べ~』新連載は“90年代”からどう変化? “当時のまま”のトラウマ級ホラー描写に震撼

 7月2日より新アニメが放送される、90年代の大ヒット作『地獄先生ぬ~べ~』(原作:真倉翔/作画:岡野剛)。これを記念する短期集中連載『地獄先生ぬ~べ~PLUS』が5月14日、マンガアプリ「少年ジャンプ+」でスタートした。

 『地獄先生ぬ~べ~』は1993年から99年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載された人気ホラー&学園コメディ漫画。左腕に「鬼の手」の力を宿した小学校教師・鵺野鳴介(ぬ~べ~)を中心とする熱いバトル、いつの時代も人気の都市伝説や怪談というモチーフを軸に、怪異と向き合いながら成長する生徒たちの青春ドラマ、適度なお色気描写もあって、読者の心を鷲掴みにしてきた。5月2日発売の「最強ジャンプ」で新作『地獄先生ぬ~べ~怪』がスタートしており、『地獄先生ぬ~べ~PLUS』とのW新連載でさらに注目を集めている。

 先行して連載を開始した『地獄先生ぬ~べ~怪』は「怪談」の世界に囚われた生徒を救うため、ぬ~べ~が奮闘するという新展開が描かれている。一方、『地獄先生ぬ~べ~PLUS』は<おなじみのキャラがあの日の童守町で体験していた秘話を描くスピンオフ>と説明されており、その内容は四半世紀前に幕を閉じたオリジナル版『ぬ~べ~』と地続きで、生き生きとした作画と読み心地はまさに当時のまま。多くのファンが感嘆の声を上げている。

 第一話では、冒頭からぬ~べ~が担任を務める童守小学校5年3組の教室が描かれ、いつものように美樹が怖い噂話をしている。「滅三川と名乗る人に会ったらすぐ逃げて」ーーという言葉をクラスメイトたちは茶化していたが、純粋なまことだけは間に受けてしまい……と、お馴染みの導入だ。そこから笑いあり、恐怖あり、感動ありの『ぬ~べ~』らしいエピソードが展開される。

 それでは、令和の時代に合わせた変化はあったのか。読者が反応したのは、90年代当時にはなかった「スマートフォン」が登場していること。とはいえ、少なくとも第一話の段階では「ケータイを持っていれば……」という現代目線のツッコミを解消するような描かれ方で、大きな違和感は生じていなかった。今後、スマホやAIのような新しいモチーフが鍵を握るエピソードが描かれることがあれば、オリジナル版との整合性という意味で違和感が出てくることもありそうだが、それはそれで「現代の5年3組」の姿が見られて楽しいかもしれない。

 また、第一話でお色気描写がなかったことに対して、意外にも多くの反応があった(毎回サービスシーンがあったわけではないだろう、という趣旨のツッコミも多数)。同時に、90年代当時は比較的自然なものとして描かれていた生徒の不良行為や、厳しい教員の姿が描かれるかどうかを気にしている往年のファンも散見される。これは名作の続編やリメイクでありがちな「時代に合わせた過剰なマイルド化」を懸念するものだと考えられるが、そんな心配を一部吹き飛ばしたのが、後半にかけてのホラー描写だ。

 今回描かれた怪異は、子ども向けの作品として「閲覧注意」としてもいいくらいのグロテスクさだった。「トラウマを思い出した」「夜中に読むべきではなかった」と震え上がった大人の読者も少なくないようで、「現代に合わせてマイルドに描こう」という考えがあったとは考えづらい、気合いの入った作画だと言える。

 いずれにしても、時代に合わせたアップデートを行いながら、往年のファンにとってもまったく違和感のない内容に仕上げられた『地獄先生ぬ~べ~PLUS』は、上々のスタートを切ったと言えるだろう。アプリだけでなく公式サイトでも読むことができるので、アニメを楽しみにしているファンは毎週水曜日、チェックしておこう。

▪️『地獄先生ぬ~べ~PLUS』(少年ジャンプ+)
https://shonenjumpplus.com/episode/17106567265642185635

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