『黒執事』物語の鍵を握るのは女性キャラ? ヒロイン・エリザベスらの新たな一面に注目

『黒執事』物語の鍵を握るのは女性キャラ?

※本稿では、『黒執事』本編の重要な設定ついて触れています。未読の方はご注意ください。

 TVアニメで『黒執事 -緑の魔女編-』が絶賛放送中の漫画『黒執事』。原作では、主人公のシエルに関する衝撃の事実や、セバスチャンと契約した日のエピソードなどが明らかにされており、新たな展開を迎えている。シエルや執事のセバスチャンをはじめ、多くの男性キャラクターたちが物語に華を添えてきたが、作品初期から様々な女性キャラクターも登場しており、物語の展開にも大きな影響を与えてきた。本稿では、これまでのエピソード、そして今後のストーリー展開において注目の女性キャラたちを紹介したい。

愛憎に揺れるロンドンの貴婦人、マダム・レッド

 まずは、第6話からの切り裂きジャック編の犯人、マダム・レッドから紹介したい。彼女は、優秀な女医でシエルの叔母にあたる。作中ではシエルやタナカさんから「アン叔母さん」「アンジェリーナ様」などの本名で呼ばれるシーンもあるが、美しい赤毛で本人も赤い服などを好むことから社交界などでは「マダム・レッド」という愛称で呼ばれていた。

 切り裂きジャック編のエピソード初期、マダムは陽気でユーモアあふれるキャラクターや、実姉の子息であるシエルへの溺愛ぶりが強調して描かれているが、実はそれは表の姿。裏の顔は、夜な夜な貧民街で娼婦たちを残虐な方法で殺害する「切り裂きジャック」だったのだ。犯行の理由は、自身が事故で夫を亡くし流産してしまったことに起因し、死神のグレル・サトクリフが手を貸してマダムの病院へ堕胎手術を受けに来た娼婦たちを次々殺害していた。シエルたちはマダム・レッドの犯行を見破り追い詰めるが、最終的に彼女はグエルによって殺されてしまう。

 このエピソードで印象的なのが、マダムの回想シーンだ。彼女とシエルの父・ヴィンセント・ファントムハイヴ伯爵との出会いと、過去の三角関係への複雑な心境や自身の流産、ファントムハイヴ家を襲った襲撃事件によるヴィンセントと実姉の死など、この世の悲しみをこれでもかと詰め込んだ回想シーンが描かれ、こうした一連の出来事が、彼女を切り裂きジャックに堕としめたのだと伝わってくる。

 表向きは華やかなロンドン社交界に顔が利く優しい叔母。しかし実は、女性たちを惨殺する切り裂きジャック、という彼女の2面性や、死神とのいびつな協力関係。そして悲しい最期が、『黒執事』という作品のダークな世界観を体現している。また、この切り裂きジャック編は、以降のストーリー展開でカギを握る葬儀屋・アンダーテイカーの登場、死神が生物より取り出す「走馬灯劇場(シネマティック・レコード)」の存在も明らかになるなど、本作の見どころをぎゅっと詰め込んだエピソードと言えるだろう。

巻き込まれがちのヒロイン体質? シエルの許婚・エリザベス

 次は、シエルの許婚であるエリザベス・ミッドフォード。幼少期からシエルを知っており、彼に寄り添ってきた本作のヒロイン的存在。ツンデレでシニカルな側面のあるシエルとは対照的に、天真爛漫で素直な愛情表現をする一見普通のお嬢様だ。

 作中、エリザベスはかなりの確率で事件に巻き込まれている(セバスチャンや使用人たちによって気づかないよう事件処理されているが……)。例えば第24話から始まるサーカス編、サーカス団員たちがファントムハイブ邸を襲撃した際にもエリザベスはシエルに会いに訪れており、団員たちに泊っている客室へ侵入されそうになっていた(使用人のタナカさんが撃破)。また、切り裂きジャック編では、シエルたちが当初犯人候補と検討をつけていたドルイット子爵を探るために潜入した社交パーティーにも参加していた。ドルイット子爵はこのパーティーの裏で、人身売買の闇オークションを主催。女装をしたシエルが一時ピンチに陥ったことも考えると、エリザベスも同様の危険に巻き込まれる可能性は十分あったのだ。

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