“家事”のドラマ人気上昇 多部未華子、一ノ瀬ワタル出演『対岸の火事』原作は家事=仕事をどう描いた?
『逃げ恥』『西園寺さん』『対岸の家事』で描かれる“家事”

4月期のTBS火曜ドラマが、朱野帰子の小説を原作とした『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(以下、『対岸の家事』)となることが発表された。
本作は、過去のある出来事から、「家族のために“家事をすること”を仕事にしたい」と専業主婦になることを選んだ詩穂を中心とした物語。育児と家事に奮闘する主人公・詩穂をドラマでは多部未華子が演じる。詩穂は働くママや育休中のエリート官僚パパなど、性別や立場が違っても、誰にも頼れず、いつしか限界を迎える“仕事人”たちに出会いながら、自分にできることを考えていく。
朱野の作品は、『わたし、定時で帰ります。』(新潮文庫)が、2019年に吉高由里子主演で同じくTBS火曜ドラマ枠にてドラマ化されている。この作品では、さまざまな人の仕事に対する姿勢や勤務時間の考え方、そして仕事と自分のための時間のバランスなどがテーマとして描かれ、多くの人の共感を集めた。
本作の軸となっているのは家事や育児。仕事とは別ものとして語られることが多いが、サボると生活ができなくなってしまったり、小さな子の命に関わったりするため、優先度が常に高く、すぐ終わるものから、時間も労力もかかるものまで大小さまざまなタスクが積み重なっている家事・育児を、本作では“仕事”と捉えている。そう考えると家事は、終わりのない長時間労働だ。つまり、ドラマ『対岸の家事』は、“家事”に従事する人々を描いた“お仕事ドラマ”といえるのである。
仕事と家事の両立というのは多くの作品でテーマとされており、人それぞれの“家事”との向き合い方が描かれてきた。ドラマ『対岸の家事』と同じく多部が主演を務めたドラマ『私の家政夫ナギサさん』(2020年/TBS系)では、仕事をとにかく頑張りたいメイ(多部未華子)が、おじさん家政夫のナギサ(大森南朋)を雇っており、最近では、『西園寺さんは家事をしない』(2024年/TBS系)で「家事は絶対にしない」主義の西園寺(松本若菜)が、お掃除ロボットが掃除しやすいように段差の全くないマイホームを購入し、“家事ゼロ”を実現させようとしていた。一方で、『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年/TBS系)では、家事代行として働いていたみくり(新垣結衣)が「主婦のひと月の家事の対価は約19万円」と計算する場面があった。でも、専業主婦や主夫の労働にそれだけの“価値”があったとしても実際にその分のお金がもらえるわけではない。ドラマ『対岸の家事』では詩穂が、“仕事”としての家事にどのように向き合っていくのかに期待していきたい。





















