【漫画】今日もSNSチェックで一日が終わる……ブラック企業でうつ病になった「私」の体験漫画に共感

【漫画】ブラック企業でうつ病になった


 ――SNS漫画『空っぽの私と自信の小瓶』の着想について教えてください。

白田シロ(以下、白田):ブラック企業で働いていた時代にメンタルブレイクしてしまったんですよ。病院に行ったら「重度のうつ病なので薬を飲んで寝てください」と言われ、仕事も休職の後に退職することに。その代わりに自分と向き合う時間が膨大にできたんですね。その時の体験を漫画にしました。

 公開するのは不安もありましたが、多分「自分の体験を知ってほしい」「どん底まで落ちても人生は何とかなると伝えたい」という気持ちが勝ったんだと思います。

――当時のことで特に苦労したことは?

白田:やはり「障がい者手帳を取るか取らないか」。親や友人にどう思われるのかなと不安でした。今は障がい者雇用として働いています。それを描いて公表することにも葛藤がありましたが、作品全体を読んで評価してくださる方ばかりで、その点に関する否定的な意見はありませんでした。

――承認欲求も物語の鍵になっていました。

白田:現代の創作者にとって呪いのようなものだと思います。私もそれにばっちり罹患してしまいました。とにかく「見てほしい」「褒めてほしい」という欲求が強くて病んでしまうという……。

 エッセイ漫画を描く以前は、推し活として2次創作の漫画を描いていましたが、売れたり褒められないと自分が保てない精神状態でした。ブラック企業で働きながら、1時に帰宅して3カ月で100ページほど描いて、同人誌を3冊作って東京ビッグサイトで売るような生活。それを10年くらい続けて心身ともに壊れてしまったんです。

――書籍化の経緯についても教えてください。

白田:嬉しいことに『空っぽの私と自信の小瓶』がバズって、多くの人に読んでもらえたんです。それが縁でコミックエッセイ界で知らない人はいない、はちみつコミックエッセイの編集者・松田さんに書籍化のお話をいただけました。本当に奇跡です。

 あと現在務めている会社にも承諾を得るために、上司に直談判しました。結局は社長の判断を仰ぐ大きな話になってしまい、PDFで漫画を提出しました(笑)。最終的に「滅多にないことだから挑戦してみなさい」と言ってくれたんですよ。自分の病気だけでなく創作にも理解してくださる会社には感謝しかありません。

――今後の展望を教えてください。

白田:「誰かのお守りになるような1冊を描きたい」という自分の夢を叶えることができたので、今後も兼業をしながら2冊、3冊と描いていきたいです。

 漫画を専業にしてたら、また病んでしまう気がするんですよ(笑)。大好きな漫画を嫌いになりたくないし、今の会社に貢献したい。だから今の活動スタンスが自分には合っていると思ってます。

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