「Nintendo Switch 2」は本当に“驚きのないゲーム機”なのか? 評論家が語る「横綱相撲」と「革新の可能性」

 任天堂が1月16日、最新ゲーム機「Nintendo Switch 2」の予告映像を発表。情報は限定的だが、年内に発売されることが明らかになった。

Nintendo Switch 2 予告映像

 現状で目新しい新機能やハードウェアの変化を伝える情報が少ないことから、ゲームファンの間では「驚きがない」ことも話題になっているが、著書に『僕たちのゲーム史』 (星海社)や『ゲーム雑誌ガイドブック』(三才ブックス)がある評論家のさやわか氏は、「『Nintendo Switch』というコンソールへの任天堂の自信を感じた」と語る。

「『Nintendo Switch』の発売から8年、これだけ時間が経てば普通は“これからのゲームはこういうものなんだ”という目新しさがあってもおかしくないものですが、『Nintendo Switch 2』はサイズが変わってもハードウェアの構成自体には変化がない。“これがスタンダードなんだ”という横綱相撲的な自信を感じますし、それは『Nintendo Switch 2』というネーミングにも表れています。任天堂はこれまで、ファミコン→スーパーファミコン、ニンテンドーDS→ニンテンドー3DS、Wii→Wii Uなど、後継機に『2』という名前をつけることがありませんでした。それだけ『Nintendo Switch』がスタンダードなもので、次世代機も純粋な継承進化というニュアンスが強いということではないかと」

 ゲームが、ライト層が遊ぶカジュアルなスマホゲームと、コアユーザーが遊ぶPCゲームに二極化するなかで、そのブリッジになるコンソールとして愛されてきたNintendo Switch。インディーズゲームも含めたライト層に訴えるタイトルも増加しているなかで、「予告映像」では台頭するPCゲームへの対応が見て取れたという。

「目に見えた変化が乏しいなかで、注目したいのはJoy-Conがマウスのように動いていたことです。PCゲームのアドバンテージとして、マウスとキーボード(マウキー/キーマウ)による操作があり、FPS(一人称視点のシューティングゲーム)をはじめとするポインティング/エイムが重要なゲームにおいては必要不可欠なものになっていますが、その操作性を丸ごと取り入れる、というイメージです。ネットの反響を見るとかつての名作『マリオペイント』のような、マウスを使うと楽しいゲームが復活するのではないか、という声が聞かれます。しかし実際は、そうした回帰的な楽しみをもたらすものではなく、大きな進化になるのではないでしょうか」

 任天堂にFPSのイメージはないが、「マリオやゼルダのルック的なイメージで保守的に思われるが、『ゴールデンアイ 007』(1997年)のように早くからFPSを取り入れるなど、先進的な取り組みを続けてきた」とさやわか氏。スマホゲーム/PCゲームの台頭で厳しい状況にあるコンソール市場で勝ち抜くための戦略的変化が、その革新性を際立たせていくのだろうか。

「任天堂は2018年に古川俊太郎新社長が就任して以降、コーポレートブランドの意味合いを少しずつ変えており、『マリオの会社』というより『プラットフォーム』として、ゲーム環境全体に関わっていこうという考えが強まっているように思います。もともと新しいゲームの要素を取り込み、それをカジュアルにして一般に広げていくことに意義を感じている会社なので、それが次の段階に進もうとしているのではないでしょうか」

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