『悪役令嬢転生おじさん』なぜヒット作に? 中年男×令嬢の“独創性“と父親としての“人間力”

アニメ放送中『悪役令嬢転生おじさん』の新しさ

『はめふら』と『悪役令嬢転生おじさん』の向かう先は?

 山口悟『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(一迅社アイリス)の場合は、主人公が転生した悪役令嬢のカタリナ・クラエスが、悪ければ処刑されてしまう悲惨な運命を変えようと頑張った結果、人気者なっていくストーリーが描かれる。グレイスが置かれている状況に似ているが、『はめふら』の場合はゲームのシナリオという“神”の差配に逆らおうとする苦闘が描かれ、その先にある平穏を願わせる。

『悪役令嬢転生おじさん』の場合、ゲーム本来のストーリーを無視して、グレイスがアンナとともに異世界で仲良くなって異世界で幸せになることが最終的な目標になっているのか。ゲームの中の悪役令嬢という役割をこなし切ってエンディングを迎えれば帰還となるのか。屯田林憲三郎の妻で同様にオタクの美津子と、娘でやはりオタクの日菜子の存在もしっかりと絡んでくるストーリーがどこに向かうのか。単行本で最新の第7巻まで来ても判然としていない。

 TVアニメを観て、中年の公務員が異世界の悪役令嬢に転生という組み合わせの妙と、井上和彦が演じる屯田林憲三郎の安心感を与えてくれる声に引きつけられた人は、まだまだ先に待ち受けている驚きと面白さに溢れた展開をアニメで追いかけていこう。待ちきれなければ単行本を買い、そして連載を読んでグレイスの未来を想像しよう。

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