第172回芥川賞・直木賞、選考結果に文芸評論家「納得」 良作そろった受賞作の魅力を読み解く
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芥川賞は時代をシャープに切り取り、エンタメにも優れた2作が受賞し、一方で直木賞は現代を生きる人々を優しく包摂するような作品が受賞したという対比が面白い。杉江氏は今回の選考について、あらためて「次回以降につながる、ポジティブな結果だった」という見解を示す。
「芥川賞は近年の傾向の通り、社会性というポイントがありながら、十分に文学的な技巧も凝らされた作品が受賞しており、“芥川賞らしさ”が感じられる納得の結果でした。直木賞については、単独受賞ということを考えると、生きるのに疲れる時代、やはり『藍を継ぐ海』を覆う“優しさ”が評価されたのかもしれません。候補作も含めていずれもお勧めできる作品で、今後の両賞にもいい影響が出そうな選考だったと思います。できれば候補作も含めた全作品、難しければ受賞作の3作だけでも読んでいただき、2024年下期の文学の先端はこのあたりにあるのだと感じていただければいいですね」
第173回芥川賞・直木賞選考会は、2025年7月16日に行われる。どんな作品がノミネートされ、そして受賞するのかーー次回の選考も楽しみにしつつ、まずは今回の受賞作品をじっくり味わいたい。