ミッドライフ・クライシスを乗り越えるためにーー中年世代に刺さる「生き方・死に方・あの世の歩き方」を教えてくれる新刊

中年世代に刺さる新刊3冊

 死だけでなく「あの世」も、人生の指針を考える判断材料となるかもしれない。9月27日発売の大角修『地獄の解剖図鑑』(イラスト:ほしのちなみ、エクスナレッジ)は、大小さまざまな種類の存在する地獄の世界から、死出の旅路、地獄を脱した先にある極楽浄土までを巡る、「あの世の歩き方」的ガイドブックである。

 失敗や不義理を重ねて中年になった筆者のような人間からすると、叫喚地獄(飲酒の罪を犯した者がおちる地獄)や大叫喚地獄(嘘をついた者がおちる地獄)など、「このまま無反省でいると、ここに落ちそうだな」と思えてしまう地獄も少なくない。しかも恐ろしくも興味深いことに、罪の有無を判定するあの世のシステムは、今の視点から見てもよくできている。

 死出の旅に出発すると、亡者はさっそく篩にかけられる。「罪問間樹(ざいもんかんじゅ)」という木をくぐろうとすると、悪行を重ねた者に対しては、枝が伸びて身体を突き刺してくる。三途の川では罪の重さによって、どこを渡るかが決まる。中程度ならやや流れがはやい場所を転覆しそうな船で渡ることになり、最も罪深い者は鬼によって濁流に放りこまれる。

 三途の川を渡り終えると、冥界の王庁で裁きが下る。そこでは、これ以上ないぐらい手厚いチェック体制がとられている。初七日から三回忌までの間に、閻魔大王をはじめ実に10人もの王による裁きを通じて、地獄に行くかどうかが決まるのである。「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれる」という戒めの裏には、閻魔様が罪を見逃すことを防ぐ厳密なシステムの存在があったのだ。

 地獄に行きたくなければ、今からでも嘘をつかないに越したことはない。

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