身を盾にして仲間を救った作中屈指の紳士……『ゴールデンカムイ』己の信念を貫いた見事な死に様3選
2024年1月公開の実写映画も好評を博し、高い人気を維持している漫画『ゴールデンカムイ』。明治時代の北海道を舞台に、アイヌ人が隠した金塊を巡るサバイバルバトルが繰り広げられる本作品だが、激しい戦いの中で主要キャラも次々と容赦なく死んでいってしまう。今回は最期の瞬間まで己の信念を貫いた見事な死に様を3つ紹介していこう。
白石に夢を託して散った海賊房太郎
まずは、刺青囚人の1人で長身・長髪の男「大沢房太郎」。泳ぎが得意で、水中に人を引き込んで溺死させ強盗を働いていたことから別名「海賊房太郎」と呼ばれるようになった。幼い頃に14人いた家族を疱瘡で亡くし、さらに疱瘡が原因で周りから迫害を受けて育った経験から、誰からも疎まれない「自分が王様の国を作り、語り継がれるようになる」という夢を抱いている。
最後は第七師団に捕らえられたアシリパ(※リは小文字が正式表記)を救うための追跡の末に、白石を庇って銃で撃たれて死亡。亡くなる直前、アイヌから聞き出していた金塊の情報と自らの夢を白石に託している。金塊争奪戦後、白石はどこかの島で移民を募って王様になったという描写があり、「房太郎の夢を受け継いで叶えたのでは」と読者の考察をはかどらせた。
完璧な姿を求めて命がけでインカラマッを守った麗人
続いては、表向きは若くて妖艶な雰囲気を纏ったホテルの美人女将「家永カノ」。しかしその正体は刺青囚人の1人で、元外科医のジジイだ。家永は妊婦だった母に完璧さを見出し、その母に近づこうと「同物同治」(体の不調を動物の同じ部位を食べて治すこと)をおこなって美しい外見になっている。自らをより理想の体に近づけるため、ホテルに泊まりに来た客を次々と餌食にしてきた。
家永は妊娠したインカラマッを第七師団から逃がすために、追っ手の背後から首に麻痺剤を注射するが、反撃されて銃で胸と腹を打たれたことで死亡。妊婦の美しさに執着していた家永が、最後は自身が完璧だと憧れた姿であるインカラマッを命がけで守って亡くなるという、ある意味己の信念を貫いた最後を迎えた。