『次にくるマンガ大賞』コミックス部門1位を獲得 ジャンプの次なる看板候補『カグラバチ』の魅力とは?
■『週刊少年ジャンプ』の看板となれるのか?
約10年にわたって連載されてきた『僕のヒーローアカデミア』の完結に続いて、9月末には『呪術廻戦』も最終回を迎えることが発表された『週刊少年ジャンプ』(集英社)。人気連載が次々終了していくことに、不安を隠せない読者も多いようだ。
しかしそんな心配は杞憂に過ぎないかもしれない。『週刊少年ジャンプ』の誌面では着々と新しい世代の連載が生まれつつあり、なかでも『カグラバチ』はすでに国内外で大ブレイクの兆しを見せている。
『カグラバチ』は新進気鋭の漫画家・外薗健による初連載作品で、2023年9月発売の『週刊少年ジャンプ』2023年42号から掲載が始まった。現在単行本は3巻まで刊行されており、シリーズ累計35万部を記録している。
基本的な設定の枠組みは、『鬼滅の刃』を髣髴とさせる本格和風ファンタジー。主人公・六平チヒロの父は六平国重という刀匠であり、15年前に起きた戦争で強力な“妖刀”を打ち、多くの人を救った英雄だという。そんな父から刀匠になるための技術を学んでいたチヒロだったが、突如妖術師たちの襲撃によって悲劇が巻き起こる。そして奪われた妖刀を取り戻すため、血で血を洗う復讐の日々へと自ら飛び込んでいくのだった。
設定的な魅力でいえば、まずこの妖刀について語らないわけにはいかないだろう。チヒロは父が遺した妖刀「淵天」(えんてん)をふるうのだが、この刀には特殊な力が備わっている。斬撃を遠くまで放出する「涅」(くろ)に、自分の身体能力を底上げする「錦」(にしき)、相手の妖術を吸収して放出する「猩」(あか)……。ネーミングセンスだけでも痺れるが、さらにそれぞれ技の発動に応じて色鮮やかな金魚が繰り出されるという粋な演出が導入されている。
ネーミングとビジュアルの両面で読者を魅了してくるのは、ほかの妖刀に関しても一貫しており、「刳雲」は雲の龍、「勾罪」(真打)は禍々しい蝶や虫たちを発現させる力をもつ。さまざまなモチーフが舞い踊る戦闘シーンは、同作ならではの魅力に満ちている。