漫画の市場動向、新規参入や縦読み活況続く……週刊漫画誌はどうなっている?

■漫画市場は活況を呈しているが、週刊漫画誌は……

photo:miika laaksonen(unsplash)

 今や日本のコンテンツ市場は数兆円規模と言われ、活況を呈しているが、深刻になっているのは雑誌の発行部数の減少である。日本雑誌協会が8月7日に公表した2024年4月〜2024年6月の3ヶ月ごとの平均印刷部数によれば、「週刊少年ジャンプ」の発行部数は109万3333部となっており、最盛期の653万部の約6分の1まで落ち込んでいることがわかった。

 現在、「週刊少年ジャンプ」発のコンテンツは世界市場を席巻しているものの、先日は10年続いた人気作『僕のヒーローアカデミア』が連載終了した。このままでは発行部数がついに100万部を割り込む可能性も出てきている。

 週刊少年漫画雑誌はかつて数百万部を発行していた歴史を顧みると、軒並み落ち込みが激しいといえる。「週刊少年マガジン」は32万3250部、「週刊少年サンデー」は13万8750部。なお、「月刊コロコロコミック」は32万3467部である。このご時世ではかなり堅調な数字といえ、しかもわずかながら「週刊少年マガジン」を上回っている。

■「なかよし」は200万部から2万部台に

 少女漫画雑誌の分野では、「りぼん」が11万8333部で、「ちゃお」10万6667部を逆転し、月刊少女漫画雑誌の発行部数で首位に立っている。なお、3大少女漫画雑誌の1誌である「なかよし」は2万8667部であり、『美少女戦士セーラームーン』の連載時には200万部を発行していたことを考えると、凄まじい落ち込みとなっている、

 なお、「花とゆめ」4万2500部、「別冊マーガレット」3万7333部、「Sho-Comi」が1万2400部、「マーガレット」1万1800部といった塩梅で、少女漫画雑誌はいずれも部数減に悩んでいる。かつては女の子が必ず通る道といわれた少女漫画だが、娯楽の多様化に伴い、新規の読者獲得に苦戦している印象を受ける。

 こうした状況から、漫画雑誌の存在意義が問われる事態になっている。少なくとも、「週刊連載は漫画家にとってもきつすぎる」という意見は編集者の間からも出ていると聞く。雑誌よりも単行本の方が優先して読まれ、しかも部数が多いのであれば、そういった意見が出るのは無理もないことだろう。漫画家にとっても編集者にとっても負担が大きい雑誌よりも、単行本のために1本をじっくりと時間をかけて作り上げるスタイルの方が、現代には合っているのかもしれない。

 しかし、漫画雑誌は新人の育成の場として有益であり、これまでの日本の漫画は、雑誌上で漫画家同士を競わせることで人気作が生まれてきた経緯がある。何より、安定した収入が見込める雑誌があったからこそ、出版社がじっくり新人を育成できてきたのは間違いない。次世代の描き手となる漫画家をいかに育てていくか。漫画の作り方を見直し、検証していく時期に差し掛かっているのは間違いない。

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