「激ムズ!」声優・福西勝也 アニメーター仕事に挑戦「線が繋がらない、1本の線になってくれない!」

■動画は新人アニメーター最初の関門

  約60分に及んだ原画とのバトルを経て、ついにトレスが完成。福西さん、これは結構上手いのでは……? さてさて、江山さんの判定はいかに!

 「初めてでこれなら、合格です! 間違った線を引いていないし、線を描き忘れた箇所もありません。形をしっかり整えられているので、絵心がありますね! 線の震えはありますが、これだけ描けるなら、線の処理のコツなどを掴み、あとはいっぱい描いて訓練すればアニメーターになれますよ」と、高い評価を獲得した。

  これには、福西さんも「嬉しい!」と大感激だった。動画はアニメーターになるうえで、最初の関門といわれるほど重要な行程である。江山さんは、「原画マンがどんなにかっこいい絵を描いても、動画マンが上手くトレスできなければアニメが“作画崩壊”してしまいます。動画はアニメ制作の要なのです」と、その意義を力説する。さて、福西さん、初めてのアニメーター体験、いかがだっただろうか。

 「楽しさと苦しさ、両方が感じられましたね。アニメーターの仕事は生ぬるい道ではない、というのがよくわかりました。アニメを愛するものとしては、いつかもとの絵の質感を100%活かした動画を描いてみたい。きっと、自分の描いた絵がアニメになり、テレビに映ったら嬉しいだろうなぁ」

  アニメーターを目指す人にも、こうアドバイスする。

 「僕は声優の仕事を始め、一言でも聞き取れるセリフを演じられたときや、実際の放送で聞いたときのことが忘れられません。特別な感情を抱きましたね。アニメーターを目指すみなさんも、うまく線が引けたときの喜びや、映像になった時の喜びを励みに、一つ一つの線を大事に引いて技術を高めていってほしいですね」

■「アニメータースキル検定」を実施

  なお、NAFCAではアニメーターを志す人や、新人アニメーターに向けて2024年11月9日に「第1回 アニメータースキル検定」を実施する予定だ。これまで、アニメ業界は個人の技能を図ったり、ステップアップにつながる検定試験が存在しなかったため、業界から注目を集めている。興味のある人はぜひ、参加してほしい。

  また、この検定をはじめとした活動を支援するクラウドファンディングも「ソレオス」のサイトで開催中とのこと。9月30日までなので、興味のある人は覗いてみてはいかがだろうか。

  世界に誇る日本のアニメ業界は、その市場規模が年々拡大しつつあるものの、若手アニメーターの人材育成を筆頭に様々な問題が山積している。特にベテランアニメーターがもつ技能の継承は大きな課題であった。しかし、NAFCAを筆頭に、業界団体が改題解決に向けて動き出している。今後の動きに注目である。

 

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