『シティーハンター』涙なしでは読めない? 冴羽獠の心を最も動かした“美女の依頼”を考察
Netflixで実写ドラマが公開され、91日で1650万ビューの大ヒットになっている人気作『シティーハンター』。その主人公である冴羽獠は、女好きで「心の動いた依頼人の仕事しか受けない」というポリシーを持っている。本稿では、歴代エピソードの中でも、美女からの依頼、かつ冴羽遼の心が最も動いたであろうエピソードを厳選して紹介する。
BMWの悪魔
最初に紹介するのはコミック1巻2話目に登場する 「BMWの悪魔」というエピソードだ。他でも冴羽の銃捌きのかっこよさや決めゼリフを見ることはできるが、このエピソードでは冴羽が殺し屋の中でも規格外の存在であることが明確に描かれている。
夜の新宿歌舞伎町で起きた少女の連続無差別殺人事件。事件で妹を殺された亜月菜摘から依頼を受けた冴羽は、依頼人を情報筋の同伴スナックへ呼び出す。自分の妹を不良少女扱いしロクに捜査しない警察や、世間への憤りをあらわにする彼女に対し、冴羽は「だから俺みたいな男がこの街には必要なのさ」と言い、同伴スナックの店内で起きた強盗事件を解決。その代償に、警察さえつかめていなかった無差別殺人事件の犯人の車がBMWである情報を入手する。
このスナックでのトラブル解決シーンこそまさに初期「シティーハンター」を象徴する名場面だ。人がごったがえす繁華街沿いの窓を背に少女を人質に取り、「撃ってみろよ。ここは新宿だ。人のきれ目なんてないぜぇ」と挑発を行う犯人。冴羽が普通に銃を打てば、犯人や窓ガラスは愚か通行人にも当たってしまう、そんな中、冴羽は自分の左手を緩衝材がわりにして(指の骨と骨の間だから骨は大事に至らなかったらしい)犯人を仕留め少女を救出し、菜摘に対して、依頼を受けることを約束する。その時、彼女の妹の性格や、姉妹の家庭事情に関しても調査し知っていたことがわかるセリフも言っており、菜摘と冴羽の心の距離が一気に縮まる瞬間が描かれている。
このエピソードはラストシーンもなかなか衝撃的だ。犯人の車を特定した冴羽は、犯人を徐々に追い詰めていく。追い詰められた末、菜摘を襲おうとした犯人に対し、死んでいった女性たちの人数分、クロスボウの矢を打ち込んで生き地獄のような痛みを与える冴羽。クライマックスシーンでは車を急発進させた犯人の額に銃弾を撃ち込み、BMWがオイル缶にそのまま突っ込んで車ごと炎上する事態に。
同伴スナックでのエピソードから、「あいつはおたくが手を汚すほどの値打ちもない‼︎だからこそおれのような男がいるのさ」とキメ台詞を言いながら拳銃を炎の中に放るラストシーンまで、まさにシティーハンター節全開。「心の動いた依頼人の仕事しか受けない」冴羽のポリシーが色濃く出たエピソードと言える。