タウンページ、紙の発行廃止に ネットの広がりとともに需要減、130年以上の歴史に幕を下ろす

■タウンページ、ついになくなる

出典:NTTタウンページ

 かつて、一家に一冊必ずあったものといえば「タウンページ」だった。知り合いの家に電話をかけるときに電話番号を調べたり、近所の飲食店を探したりと、まさに生活必需品といえるものだった。黒電話の横にタウンページがある――これぞ、昭和の家庭の風景そのものと言っていいだろう。

  そんな紙のタウンページの廃止を、NTT東日本とNTT西日本が決定したことがわかった。タウンページは明治時代の1890年に刊行された「電話加入者人名表」がルーツで、実に130年以上の歴史をもち、その後の電話加入者の広がりとともに爆発的に普及した。

  戦後の高度経済成長とともに、掲載される店や企業の数も増大。極めて身近な紙媒体のひとつだった。首都圏のタウンページはとんでもなく分厚かったことから、「分厚い本」を表現する際に「電話帳のように厚い」などと言われることもあったが、完全に死語になってしまった感じがする。

■ネットの普及がタウンページの需要を奪った

  2000年代に入ると携帯電話とインターネットの普及に伴い、徐々に発行部数が減少していった。もはや現代では、電話番号はネットでいくらでも調べることができるようになり、何年もタウンページを開いたことがない、という人は少なくないのではないだろうか。

  地域の飲食店の電話番号は「食べログ」などのアプリやウェブサイトで調べるのが一般的になった。かつては、飲食店が開店した際は、知名度向上のためにタウンページに広告を出すことが多かった。しかし、それも今やホームページや、XなどのSNSが担うようになった。タウンページのあらゆるニーズが、ネットの広がりとともに消滅してしまったといえる。

  なお、個人の電話番号や住所が載っている「ハローページ」は、2021年10月以降に廃止されている。これは個人情報に対する意識の高まりも影響しているようだ。自宅の電話番号が電話帳に載っているせいで、勧誘ビジネスに悪用されたり、ネットに無断に掲載されるなどのトラブルが多かったようである。

  なお、若い世代には既に「タウンページって何?」「ハローページなんて聞いたことがない」という人も続出しているという。公衆電話も携帯電話の普及とともに姿を消しつつあるが、時代の流れとはいえ、文化面でも経済面でも大きな役割を果たしたタウンページの廃止はかなり寂しいものがある。

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