海賊版グッズ、生成AIを使ったものがネットオークションに氾濫 商品名の“〇〇風”には要注意

■二次創作とどう区分するのか

  日本には同人誌即売会やファンアートなどで知られる二次創作の文化もある。それらは著作権的には限りなくグレーなのだが、あくまでもファン活動の一環として著作権者が黙認しているため、基本的には問題にはならない(もちろん問題になった例もある)。しかし、ファン活動という建前がある一方で、二次創作の同人誌やグッズを同人誌ショップの流通にのせる行為は普通に行われている。

  それらのほとんどは著作権者の許可を取っているわけではないし、もちろん著作権者に何らかの支払いがあるわけではない。そのため、いわゆる“AI絵師”の中には、「なぜ二次創作が許されて生成AIはダメなのか」と主張する人もいるのだ。

  二次創作のイラストも、著作権者からすれば海賊版であるという指摘は以前からもあったが、本格的な議論がなされることは少なかった。生成AIはいわばパンドラの箱を開けたと言っていい。ネット上では、生成AIについてある程度規制を設けるのであれば、それまでグレーゾーンだった二次創作についても、一定のルールを設けるための議論がなされるべきという見解が出ている。

  90年代頃まで、二次創作のグッズといえば“同人便箋”のようなものが主流で、業者と個人が作る品物ではクオリティに明確な差があった。しかし、最近では印刷技術やグッズ製造の技術も進化し、ライセンス料を払って業者が作るグッズとクオリティが寸分違わないグッズを個人が販売できるようになってしまった。このような状態に、昔からの二次創作や即売会のルールを適用するのはおかしいという声もある。

  生成AIについての議論は、過渡期ということもあってか賛否両論である。「創作者にダメージを与える」として一定の規制を設けるべきだとする意見がある一方で、「日本の産業の発展を阻害する」といった経済界の意見もあるし、クリエイターの間でも「問題がクリアされたら使えるべきものは使いたい」という意見もある。既に紹介したような、AI絵師の意見もある。様々な立場から議論がなされるべきであろう。

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