EXILE NAOTO、肉体で表現するパフォーマーの生き様 「これが俺の商売道具です」
枠を超えた活動をすることで、誰かの励みになったら
――そして現在、NAOTOさんはHONEST BOYZ®の1stアルバム『HBZ』を携えて、初のソロツアーを開催中です。ダンサーからパフォーマーに転身した後も、俳優、バラエティタレント、ボーカリスト……と肩書きが増えていますが、それぞれの切り替えや向き合い方についてはどう考えていますか?
NAOTO:そんなにスイッチがバチッと切り替わる感じはないんですよね。どの仕事も“表現”という意味では同じ業種だし、割と繋がっているので。1つ1つのチャレンジに対して、一生懸命に向き合うだけです。まずは自分が納得のいく形に仕上げる。で、自分が納得できるものができたら、さらに他人に納得してもらえるクオリティーに上げていく。そうやって高みを目指していくスタンスは、昔も今も、どの立場にいても変わらないなと思います。今回のソロツアーも、この1回で終わらないように、お客さんにまた来たいと思ってもらえるようなショーをお届けするしかない、という心構えで取り組んでいます。
――エッセイによると、NAOTOさんは踊る快感を知る前から、“歌う人”に憧れていたそうですし、ソロツアーはひと際大きな夢を掴んだ証と言えるのでは?
NAOTO:そうなんですけど……まさか、小学生の頃の夢の伏線を、30年近くかかって回収するとは思わなかったですよね(笑)。あの時、(小学校1年生の時の将来の夢に)“踊る人”って書いてたら、もっと早い段階で回収できてたんですけど。潜在的に“歌う人”への憧れがあったんでしょうね。こうしてソロツアーを行うことになりました。
――ではここからは、アルバム『HBZ』のお話を。HONEST BOYZ®はNAOTOさんがリーダーを務めているヒップホップグループですが、楽曲を制作する際は、NAOTOさんはどのような立場から関わるのでしょうか。三代目JSBのアルバムを制作する時とも違いますよね?
NAOTO:そうですね。三代目の時はパフォーマー目線で意見を出すことが多くて、「この曲のここで、こういう踊りをしたら、お客さんも一緒に踊ってくれるんじゃないかな」とか「こういう踊りをしたらライブで映えると思うから、この曲がいいと思う」とか、ダンスをセットで考えて選曲しているんですけど。HONEST BOYZ®の場合は、自分もマイクを握って歌うし、ダンスパフォーマンスで魅せるグループではないので、楽曲を選ぶ際も「いかにHONEST BOYZ®らしいか」を重視しています。
――ラッパーとして参加している楽曲が多い中、新曲の『ラブリー』(小沢健二カバー)ではボーカルも担当されています。どういう経緯で、この曲をカバーすることになったんですか?
NAOTO:エッセイにも書いたんですが、僕、小沢健二さんが大好きなんですよね。小学生の頃に『LIFE』っていうアルバムに出会って、衝撃を受けて以来、大ファンなんです。ダンスを始めてからはブラックミュージックを聴いたりしていて、しばらく離れていたんですが、大人になってから久しぶりに聴いても、全然色褪せていなくて! むしろ、あの頃わからなかった歌詞の雰囲気が理解できるようになって、より沁みるなぁって思いました。そんな時に、小沢健二さんがライブ活動を再開されたので、友達とライブを観に行ったんですよ。で、初めてご挨拶させていただいて。連絡を取らせていただくようになって……。
――憧れの人と連絡を取れる距離感って、すごいですね。ソワソワしそう。
NAOTO:しますよ。たまに、ふと「子供の頃にアルバム聴いてた人だよな?」って我に返る(笑)。でも、今回アルバムを制作することになったので、思い切って「オザケンさん、『ラブリー』をカバーさせてもらえないですか?」とお話をして。なんと、広い心で快くOKしてくださいました! ……ただ、本当は自分で歌うつもりはなかったんですよね。自分はラップだけで、サビは他の人に任せようかなって。
――ラッパーとDJのみで構成されているグループで、誰に任せるつもりだったんですか(笑)。
NAOTO:(食い気味に)そうなのよ! 「誰に歌わせるの?」って話になって(笑)。かといって、一番重要なサビを歌わないのはあり得ないから。トラックを作ってくれたChaki Zuluさんやスタッフと話した結果、「俺が歌うしかない」ということになりました。
――今、NAOTOさんは覚悟を決めた表情をされています。
NAOTO:あははは。歌だけは、頑なに歌ってこなかったですからね。でも、いざやってみたら、すっごく楽しかったです! だって、憧れの『ラブリー』ですもん。俺のルーツですもん。
――『ラブリー』を聴きながら、写真集を読んでみたんですけど、NAOTOさんの過去(エッセイ)と現在(音楽)を同時に味わえて、グッときました。この少年が30年の時を経て、このカバーに辿り着いたのね、と。
NAOTO:お~、なるほどね! その楽しみ方は俺もまだやってなかったけど、面白そう。せっかく同じタイミングで発表したので、両方ゲットしてくれた方はぜひやってみてほしいですね。
――また、新曲『TOY BOY feat. DEAN FUJIOKA』や、2019年に配信された『SAKURA feat. KOBUKURO』など、他のアーティストとのコラボ曲も収録されています。HONEST BOYZ®としてコラボをする醍醐味は、どういったところでしょうか。
NAOTO:ダンスを通していろんな人と繋がるというのは、今までたくさん経験があるんですけど、HONEST BOYZ®と繋がるアーティストさんって、他の方々とはちょっと毛色が違うんですよね。コブクロさんとはプライベートでも親交がありますけど、パフォーマーとしてご一緒しようと思っても、なかなか難しいじゃないですか。ディーンさんも、HONEST BOYZ®だからこそ繋がれた方だと思うし、オザケンさんの『ラブリー』でなければ、ボーカルデビューする機会もなかったはず(笑)。そう考えると、自分のルーツや交友関係を楽曲に落とし込めたり、パフォーマーとは違う切り口で自分のやりたいことを形にできるのが、HONEST BOYZ®の面白いところだなって思いますね。あと、『Put Your Hearts Up feat. PKCZ®』はライブをお楽しみに。特に6月1日の東京ガーデンシアターは、メンバーのMANDYとSWAYに加えて、PKCZ®もゲスト出演するので、かなり盛り上がるだろうなと期待しています。
――ちなみに、ご自分のホームと言えるようなHONEST BOYZ®のアルバムに、『HeartBreakerZ feat. CRAZYBOY』や『BEPPING SOUND feat. HIROOMI TOSAKA』といった、三代目JSBメンバーとの楽曲が収録されているのは、どんな感覚ですか?
NAOTO:素直に嬉しいです。ELLYもØMIも、普段は同じグループで活動していますけど、こういう関わり方はデビュー当時にはできなかったことなので。ソロアーティストとHONEST BOYZ®という立場で、一緒に楽曲を作れるようになったんだなと、しみじみ思います。
――昨年開催された『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS "JSB LAND"』でも、三代目JSBは7人で補い合って1つのグループを作り上げていた時代を経て、ソロアーティストが7人揃ったグループになったんだと、改めて実感しました。
NAOTO:そうですね。JSB LANDツアーでは、メンバー各々がソロや他のグループで制作した楽曲を披露するブロックを作り、それを7人でパフォーマンスすることで、個人の活動を三代目JSBのエンタテインメントに昇華するという試みを行ったんですが、僕にとっても、その経験はすごく意味のあるもので。ボーカルと肩を並べながら歌ったり、自分の声で大勢のお客さんを盛り上げて、マイクを握る自信がついたからこそ、今、楽しみながらソロツアーに挑戦できています。
――ダンサー出身のNAOTOさんがソロツアーを行うことは、NAOTOさん自身の挑戦であると同時に、多くのダンサーに希望を与える光でもあるんでしょうね。
NAOTO:ダンサーが1人でツアーを回るなんて、僕がダンスを始めた頃には想像もつかなかった未来ですからね。そんな僕が、ダンサーの枠を超えた活動をすることで、誰かの励みになったらいいなと思います。ただ、ダンサーに対するイメージや世間の受け入れ方が大きく変わって、可能性が広がった一方で、ものすごいスキルを持った人達もたくさん出てきているので、より狭き門になっているのも事実ですね。
――ボーイズグループ戦国時代ですからね。
NAOTO:そうそう。マジで『キングダム』の世界ですから(笑)。僕も戦国時代の渦の中にいる1人として、引き続き、自分の武器を磨いて戦っていきたいと思います。
――では最後に、NAOTOさんのように、カッコいい大人になる秘訣を教えてください。
NAOTO:カッコいい大人!?(しばらく悩んで)……好奇心を持ち続けること、かな。音楽でもファッションでも、なんでもいいけど、自分のアンテナが振れるところをどんどん掘っていくこと。興味の矛先は1人1人違うし、それが結果的にその人の魅力になると思うので、好奇心のアンテナの感度を高めにしておくことが、カッコいい大人に近づく第一歩だと思います。
■書籍情報
『Onestà』
発売日:2024/3/21(木)
仕様:A4判 / ソフトカバー / 160頁予定(オールカラー)
定価:¥3,740(税込)
撮影:MARI SARAI
出版社:幻冬舎
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