Netflix『三体』原作改変がすごいと話題 ハードSFがド級のエンタメに……SFが苦手な人こそオススメな理由

Netflix『三体』原作改変がすごいと話題

  多くのSFファンが待望していたNetflixのドラマシリーズ『三体』が、3月21日より配信開始となった。原作はシリーズ累計で全世界2,900万部を突破しているほどの大ヒット小説だが、今回のドラマ化によってますます“三体旋風”が巻き起こることになりそうだ。

 『三体』の原作小説は中国の作家・劉慈欣によるSF大作で、アジア圏の作品として初めて、“SF界のノーベル文学賞”と言われるヒューゴー賞の長編小説部門を獲得したことでも話題を呼んだ。

  そんな世界規模の注目作をドラマ化するにあたって、Netflixは1話につきおよそ2,000万ドルの制作費を注ぎ込んだという。さらに『ゲーム・オブ・スローンズ』のデイヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスが製作総指揮兼ショーランナーを務めており、何から何まで規格外のスケールだ。

  とはいえ、実は『三体』がドラマ化されるのは今回が初めてではない。2023年に中国でドラマシリーズが制作され、「テンセントビデオ」にて配信されていた。しかしこのテンセント版とNetflix版には、大きな違いがある。

  テンセント版は全30話の大ボリュームで、原作の内容をとことん忠実に表現することにこだわっており、原作ファンから高く評価されていた。それに対してNetflix版は一部の原作ファンが難色を示すほどに改変が加えられている。だが、それは必ずしも改悪ではなく、むしろ“三体世界”への入り口としてこの上ないアレンジになっているように思えてならない。

  なにせ『三体』の物語はあまりにも壮大であり、普段SFに触れない人にとっては「ハードルが高い」と感じられる可能性がある。そこでNetflix版の制作陣はきわめて分かりやすいストーリーに原作を再構成することで、より多くの視聴者に開かれた作品を作ろうとしているのだ。

  Netflix版『三体』の主人公となるのは、オックスフォード大学で物理学を学んでいた5人の天才「オックスフォード・ファイブ」。科学者の変死事件が次々と起こり、世界中の粒子加速器で異常が検知されるなか、5人はそれぞれの使命と対峙していくことになる……。こうしてみると、かなり理解しやすい物語ではないだろうか?

  ここから先は若干ドラマの内容に踏み込みつつ、原作との違いについて語っていきたい。

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