【漫画】種族を超えた友情に感動する読者続々……老人と人魚の交流描くSNS漫画が泣ける
短いページだからこそ出せた雰囲気
――なぜ『人魚の弔い』を制作しようと思ったのですか?
渡部:本作は過去に知人とともに制作した短編漫画合同誌に掲載したものです。誌面の都合で15ページに収める必要があり、そこまで短い読切を描いた経験がなく、割と頭を抱えながら制作しました。
――人魚と人間の友情を描いた内容でした。
渡部:最初は「人間と人魚の価値観のズレみたいなものを描きたいな」と漠然と考えていました。ただ、「それを少ないページ数で表現するには難しいかも」と考えていく中で、ふと“葬式”のアイデアが生まれて、そこからはほぼ理詰めで組み立てていきました。“短いページで描かなければいけない”という縛りがあったからこそ、あの雰囲気を描けたと思っています。
――“伴次郎の死”という切ない出来事を軸に展開されますが、あたたかなラストになっていました。結末は最初から決めていたのですか?
渡部:そうです。人間が深海に沈んでいく画が描きたかったので、ラストは最初から決まってました。
――人魚と伴次郎はどのように作り上げましたか?
渡部:人魚は“中性的で人間と違う生き物”ということを意識しました。一方、伴次郎は私の曾祖父から名前をもらっています。「写真でしか見たことのない曾祖父はどんな人だったのだろう」と想像しながら描きました。
――「ソワソワしとるわ」「よかったのだ」など人魚の言葉遣いが面白かったです。
渡部:何となく「“爺くさい”と“幼い”という雰囲気が両立できたらな」と思ってセリフを選びました。
――個人的には人魚が棺桶を担ぎながら坂を下るシーンが可愛らしくもあり、躍動感もあって好きでした。
渡部:このシーンで「新鮮な魚みたいな音が入ったら可愛いかな」と思って擬音として「ピチッ」という音を採用しました。また、可愛いさを残しながらも、棺桶を軽々と担いでしまう“おっかない異種族”らしさを表現したかったシーンでもあります。
――本作はXで1.6万いいねを集めるなど大反響となりました。渡部さんのこれらかの作品にも注目している人は多いですが、今後どのように活動していく予定ですか?
渡部:現在、担当編集さんと一緒に連載企画を練っています。これからもみなさんの時間を奪えるような作品を目指して頑張りたいです。