『サマータイムレンダ』作者の新作登場  『ジャンプ+』で続々はじまる新連載、注目の作品は?

田中靖規『サマータイムレンダ』

新たな地平を開拓する『ジャンプ+』作家たち

 『少年ジャンプ+』といえば、幅広いジャンルのマンガが掲載されていることでお馴染みだが、そのなかでも『ごぜほたる』はかなり挑戦的な作品だと言える。

  同作は3月19日から始まった十三野こうによる新連載。三味線を携えて旅をする盲目の女性芸人「瞽女」(ごぜ)が題材となっており、幼くして親を失った少女・ホタルが不思議な旅芸人の一座に出会い、ごぜの世界に飛び込んでいくというストーリーだ。

  少年マンガでは珍しい題材という以上に、目を見張るのは表現力の高さ。壮絶な運命を背負った少女の内面が鮮やかに描き出されており、読む者の感情を激しく揺さぶってくる。

  また連載開始時期は少し前になるが、1月から始まったバンド物語『ふつうの軽音部』も人気を集めている。同作は元々クワハリが『ジャンプルーキー!』で発表していたマンガだが、出内テツオが作画を担当する形で正式連載が始まった。

  ギター初心者の女子高生・鳩野ちひろが憧れの軽音部に入部するという物語で、自意識にまみれた青春が繰り広げられていく。第1話からRADWIMPSの『おしゃかしゃま』や銀杏BOYZの『あいどんわなだい』といった音楽の引用が飛び交っており、とくに邦ロックが好きな読者の共感を誘う作品となっている。

  なお、『ごぜほたる』の十三野こう、『暗黒デルタ』の有波、『ふつうの軽音部』のクワハリは、いずれも『ジャンプルーキー!』出身。個性的な漫画家たちがさらにデビューしていくかもしれないと思うと、『少年ジャンプ+』の今後が楽しみだ。

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