【漫画】“好き”って言うの、怖くない? 感情表現に悩む女子高生を描いたSNS漫画『好きということ』に共感
“好き”の捉え方に悩んだ経験
――今回『好きということ』を制作した経緯は?
もんじ:昨年の夏ごろに友人の勧めもあり、制作した漫画をネット上で漫画編集さんに見てもらえるサイトに投稿しました。そこでご縁があった担当さんにネームを見てもらえるようになり、その後「賞に向けてなにか読み切りを……」という思いから本作を描きました。当時はネームを描いたり直したりの時間が長かったこともあり、「久しぶりに思いきり原稿が描けるぞ!」とウキウキしていました。
――“好き”という気持ちをストーリーの軸に据えた理由を教えてください。
もんじ:新しい担当さんとお話している時、「好きな漫画は何ですか?」という質問をいただいたのですが、その際にとても回答に悩んだことがキッカケです。「昔からよく読んでいた“大好き”な作品なのか」「自分がやっていきたい作風の“好き”を参考として聞きたいのか」「最近“好き”な漫画を答えてほしいのか」など、どの“好き”を答えるのが良いのか悩み、「なんて難しい質問なんだろう」と唸りました。その経験から「“好き”ということが物語にできるかも」と思って軸に選びました。
――本作の主人公・推野はどのように作り上げましたか?
もんじ:本作のネームを一度直す前、“好きを主張するのが上手な友人”というキャラクターが登場しており、「その反対にアピールが苦手な雰囲気のキャラを主人公にしよう」という狙いから誕生しました。
――「わしのこっ恥ずかしい恋文なんて」「あやつもその程度のファンか…」というセリフから、推野のユニークで控え目な性格が伝わります。
もんじ:「私自身が日常で抱きがちな気持ちから書いたセリフが多いのかな」と思っています。ファンレターを書く時などは常に「これはお相手様に言うべき言葉か?」「自分の好きの押し付けてないか?」といったことを自己問答しているので……。
読者の感想にハッとさせられることも
――「自分の好きという感情をどのように表現すれば良いのか?」と悩んでいる推野の姿にとても共感しました。
もんじ:周囲を見ないで夢中になれればそれで良いのですが、今の時代は「全く周囲を見ない」ということは難しいです。また、周囲と一緒に楽しむこともまた好きの楽しい部分でもあると思います。そういった部分を広げたり縮めたりしながら描きました。
――「新参者」「にわか」といった“好き”を冷笑する言葉も少なくありませんね。
もんじ:よく言われていることではありますが、最初は誰でも「新参者」「にわか」です。「あまり気にしなくても良いのではないか」「たくさんの人が楽しくやっていけたら良いな」と思っています。
――作中で、オオクラ先生はファンの声に元気づけられていました。もんじさんも誰かからの言葉に元気づけられたことはありますか?
もんじ:“漫画を上げること”それ自体に思い切りが必要です。友人やSNSのフォロワーさんなど優しい人が周囲に多く、いつも元気をもらっています。漫画にしても絵にしても「見てもらえるだけでもありがたいな」ということに感謝する日々です。
――応援はモチベーションになりますからね。
もんじ:また、漫画は読むためにそれなりの時間をもらう必要があるため、「読みました!」という声をもらえるだけでも、「読んでくれてありがとうございます」となります。また、「楽しんでもらえたのかな?」ということがわかると、より一層「良かった」という気持ちになります。また、読者さんの感想やリアクションから、ハッとさせられることも多く、やはり何かしらの反応をもらえることはありがたい限りです。
――これからはどのように漫画制作を進めていきたいですか?
もんじ:商業でやっていければとても良いのですが、まだまだな部分が多く、今は「少しずつ精進したい」と思っています。イラストのご依頼なども大変楽しく、そして学ぶことも多いもので、そういったお仕事に取り組みながら、いろいろ活動して行きたいです。