フルーツ牛乳にオンドルまで? 続編が話題の『テルマエ・ロマエ』主人公ルシウスの功績をおさらい
総発行部数850万部を突破し、「第14回手塚治虫文化賞短編賞」を受賞した“タイムスリップ・温泉漫画”『テルマエ・ロマエ』。アニメ化や阿部寛主演の実写映画化も果たした人気作の続編が、連載終了後11年を経て「少年ジャンプ+」に掲載され話題となっている。
『続テルマエ・ロマエ』は前作から20年後のローマが舞台。主人公・ルシウスもすっかり年老いているが温泉への探究心は衰えておらず、今作でもさまざまな温泉を体験する。そこで今回は、前作でかつてルシウスがローマに実現させた“浴場技術”をいくつかおさらいしてみよう。
現代日本では当たり前の銭湯の情景が珍しい?
『テルマエ・ロマエ』は古代ローマ人の浴場設計技師・ルシウスが、風呂を通じて現代日本にタイムスリップし、そこからさまざまな温泉のアイデアを持ち帰るストーリーだ。しかし記念すべき第1話で、ルシウスは浴場設計技師として失業していた。
気分転換に訪れた公衆浴場は混み合っていて、リラックスする場所であるべき浴場が騒々しいものになってしまったと嘆くルシウス。お湯の中に頭まで潜り、せめてもの静けさを感じていると不思議な排水口に吸い込まれてしまう。水流に巻き込まれ、必死で水面に顔を出すとそこは現代日本の「銭湯」だった――。
タイムスリップしたルシウスが見たのは、壁に描かれた富士山に機能的な脱衣籠、脱衣所に貼られた映画の宣伝ポスター。湯上がりに飲む「フルーツ牛乳」の美味しさに感動したルシウスは、そのまま意識が遠のき古代ローマに戻ってきた。
目が覚めたルシウスは、さっそく日本で見てきた銭湯の数々を取り入れる。ポンペイの「ヴェスビオス火山」が描かれた壁画に、見世物の告知看板が飾られた脱衣所など、これまでローマになかったスタイルの浴場はたちまち話題に。何より、風呂あがりに提供される「果汁入り牛の乳飲料」が人気を呼び、ルシウスは浴場設計技師として返り咲くこととなった。
腰を痛めたルシウスがタイムスリップしたのは「湯治場」
あるときは、ローマ帝国属州のユダヤを訪れていたルシウス。ここはエルサレム陥落の第一線で、長引く戦いに疲弊した兵士たちのために浴場を作りに来ていたのだ。岩だらけの土地で作業する内に腰を痛めたルシウスは、足を滑らせ湯の中へ落下。例によって日本へタイムスリップする。
たどり着いたのは、地熱で床を温める「オンドル」がある湯治場だった。ルシウスは現地人に勧められるままオンドルの上に寝そべり、腰の痛みが和らぐのを実感する。さらに温泉の湯(ナトリウム泉)の毒消し効果を身をもって知り、エルサレムの湯も同じく塩っぱいものだったと気づいた。エルサレムに戻ったルシウスは、すぐさま浴場のほかに地熱のオンドルも建設し、温泉の湯の効能も広めることに尽力。その結果兵士たちの士気もあがり、エルサレム陥落の一助となったのだ。