【書店ルポ】福井駅、かつて観光案内所の役割果たした書店消滅 期待高まるのは個性的な品揃えの独立系書店

■北陸新幹線開業を控えた福井

北陸新幹線開業に向けて工事が続くJR福井駅。

  3月16日、いよいよ北陸新幹線の金沢駅~敦賀駅間が開業する。中間駅になる福井駅は福井県の県庁所在地・福井市にある代表駅であり、新幹線開業に向けて駅の整備が急ピッチで進む。駅構内では土産店などが入る商業エリアの工事が進んでいた。新幹線開業に合わせて、駅の風景が大きく様変わりしようとしている。

JR福井駅前の再開発の核である「FUKUMACHI BLOCK(ふくまちぶろっく)」。開業すれば街の風景が一変しそうである。

  さらに、駅前では地上27階と28階の2つの高層ビルを備えた「FUKUMACHI BLOCK(ふくまちぶろっく)」が建設中だ。こちらは年内の開業予定で、ホテルやオフィス、マンションなどからなる大型複合施設が誕生するという。福井の玄関口にふさわしく、観光名所の東尋坊をイメージしたデザインが施されるそうだ。新幹線開業が地方に与える影響と、地元の人々の期待の大きさを感じさせてくれる。

西武福井店は福井駅前唯一の百貨店。

  そんな福井駅周辺だが、2024年1月現在、新刊書店は非常に少ない。ネットニュースを追ってみると、2016年には福井大学など学校が集中するエリアにあった「ホリタ書店」が閉店、2020年8月には駅前を代表する老舗書店で約20万冊の在庫を誇った「勝木書店福井駅前本店」が再開発のため閉店してしまっている。

  「勝木書店福井駅前本店」は1959年の開店であり、5階建てのビルの1~3階が書店で駅前のランドマークとなっていたため、閉店を惜しむ声は市民からも聞かれた。同店は記者も訪問したことがあるのだが、福井の観光関連の本や郷土資料をまとめた書籍なども充実していて、観光客目線で見てもありがたかった。駅前の老舗書店はこうした本を取り揃え、一種の観光案内所のような役割を担っていたことがわかる。

■紀伊國屋書店とアニメイト

西武福井店の7階に「紀伊國屋書店福井店」があり、駅前唯一の大型書店となっている。

  現在、福井駅前最大の書店は、西武福井店の7階にある「紀伊國屋書店福井店」である。記者が訪れたのは休日と平日だが、学生から親子、そして西武で買い物を終えた高齢者など、比較的幅広い層が来店しているようだ。受験シーズンなのか、それとも定期テストの学生なのか、参考書を買い求めている学生もいた。

「アニメイト福井」は学生も多く訪れ、活気がある。同じビルには映画館も入っている。

 西武のすぐ近くには「アニメイト福井」があるが、こちらは店内も明るく、漫画やアニメ関連の書籍が充実し、なかなか活気がある。「アニメイトは地方のオタクの社会インフラ」と話す人に会ったことがあるが、本当にそうなのだろう。書店が相次いで閉店し、漫画を買えなくなった問題を、地方都市のアニメイトが解決しているパターンが少なくない。ポイントも付くうえ、予約すればマニアックな本でも確実に入手できるとあって重宝する人は多いようだ。

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