『アイシールド21』村田雄介、アニメスタジオ立ち上げを公表 漫画家がアニメを制作する背景とは?

村田雄介、アニメスタジオ立ち上げを公表

 『アイシールド21』や『ワンパンマン』などのヒット作がある漫画家・村田雄介が2024年1月1日にXを更新。「アニメ制作スタジオを立ち上げました。突撃のラッパだ!」とポストし、自身のアニメ制作スタジオの設立を報告した。ファンからも祝福のコメントが多数寄せられ、今後どのような作品が制作されていくのか、期待が高まっている。

 村田は2日前の2023年12月30日にもX上で、「オリジナルのアニメを作っています。パイロットフィルム的な」と、Village Studioとクレジットが入った「ZAIYUKI(ザイユウキ)」の映像をポストしていた。作品には多くの「いいね」が寄せられるなど、反響を呼んでいる。

 

  漫画家がアニメ制作スタジオを立ち上げた例としては、手塚治虫が有名である。手塚が1961年に設立した「虫プロダクション」は日本初のテレビアニメーションである『鉄腕アトム』を制作し、その後のアニメ文化に多大な影響を与えた。また、虫プロはアニメ制作以外にも漫画雑誌や単行本の出版など業務の多角化を図り、アニメスタジオの枠を超えて多彩な活動を展開した。

  また、1963年にはトキワ荘のメンバーも「スタジオ・ゼロ」というアニメスタジオを制作している。ラーメン大好き小池さんのモデルになった鈴木伸一のほか、石森章太郎(のちの石ノ森章太郎)、つのだじろう、藤子不二雄の2人(安孫子素雄、藤本弘)などが設立に参画している。

  スタジオ・ゼロはその後、参加していた漫画家が軒並み売れっ子になって多忙となってしまい、アニメ制作に関与することが難しくなってしまったものの、昭和時代、漫画家の間ではアニメ制作が羨望の対象であった。トキワ荘メンバーが師と仰いだ手塚がアニメ制作を始めたことで、それに続けという思いがあったのかもしれないが、理想のアニメを追求し、スタジオを設けたのは画期的だったといえるだろう。

  さて、その後は漫画を原作としたアニメこそ多数制作されているものの、あくまでもアニメの制作はアニメスタジオに一任されることが多くなった。それに、アニメ制作会社によってそのクオリティは変わるとも言われており、『 響け!ユーフォニアム』や『らき☆すた』を手がけた「京都アニメーション」、『チェンソーマン』や『呪術廻戦』の「MAPPA」、『SPY×FAMILY』『ぼっち・ざ・ろっく!』の「CloverWorks」、『【推しの子】』の「動画工房」など人気制作会社には、依頼が増える傾向がある。

  そのため、漫画家が直接的にアニメ制作に関わったり、制作を担う例は珍しくなったといえる。 映画『THE FIRST SLAM DUNK』は井上雄彦氏が直接監督として指揮を執ったように、今回の村田氏の試みも非常に挑戦的である。村田氏がどのようなアニメを手がけるのか、その内容に注目が集まるとともに、他の漫画家が続くかどうかによって、アニメ制作会社依存の体制から変わる可能性もある、注目するべき内容なのだ。

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