『アイシールド21』蛭魔妖一はなぜカッコいいのか 他校選手とのエピソードから考察

 アメリカンフットボールという日本で馴染みがあるとは言い難いスポーツを題材にしながらも、数々の熱すぎる展開から、今でも多くの読者の心に残っているマンガ『アイシールド21』(原作:稲垣理一郎/作画:村田雄介)。

 本作は試合展開だけではなく、選手同士の関係性がハッキリしているため、個性が活かされた掛け合いも見どころだ。今回は『アイシールド21』の裏主人公であり、泥門デビルバッツの中心人物・蛭魔妖一と、各校のキャラクターとの印象的な絡みをまとめたい。

泣きながら詰め寄る葉柱ルイ

 最初に賊学カメレオンズの主将・葉柱ルイの“あのエピソード”を語りたい。

 賊学カメレオンズは、秋季東京大会の3回戦に巨深ポセイドンとぶつかる。試合序盤から蛭魔顔負けの奇策を講じるも、次々と巨深ポセイドンに破られ、中盤以降はワンサイドゲームに。それでも何とか食らいつく葉柱だったが、他のチームメイトは戦意喪失。終わってみれば0-42と大差をつけられ敗北した。

 試合後、失意のどん底にいる葉柱の前に蛭魔が現れ、「まだ勝算はあったのに てめえ以外の賊学連中 途中であきらめやがったな」と慰めの言葉をかける。ただ、当初はどちらも恐怖でチームを支配していたにもかかわらず、いつの間にか固い絆で結ばれたチームを築いた蛭魔に対する嫉妬心をさらけ出し、葉柱は「テメェと俺となにが違うってんだよォオ!!」と泣き叫ぶ――。

 胸ぐらをつかまれながらも、葉柱の涙の訴えをただ黙って受け止める蛭魔の姿勢だけでなく、葉柱なりの苦労・葛藤が垣間見えたシーンであり、いつ見ても涙が止まらなくなる。

誰も知らない高見への優しさ

 関東大会準決勝で、序盤から最強のライバルとして君臨した王城ホワイトナイツを下した泥門。高見伊知郎は試合中、レシーバー・桜庭春人との高身長を活かしたパス「ツインタワーアロー」を駆使し、泥門に劣らない攻撃力を展開する。しかし、雪光の頭脳プレイやセナの覚醒により、惜しくも40-42で敗れてしまう。

 試合後、新キャプテンに進を任命し、淡々とキャプテンとしての最後の責務を果たした後、1人トイレで顔を洗う高見。ただ、外では黒木と戸叶もトイレに駆け込もうとするが、1人になりたかった高見の心情を察した蛭魔は、機関銃をぶっ放しながら「反省会が先だ」と言って2人をトイレから遠ざける。一方、冷静な振る舞いを徹した高見は、これまでのキャリアを振り返り、誰もいないトイレで決して人前では見せることがなかった涙を流す――。

 葉柱の時とは真逆で、ここではあえて相手を1人にさせた蛭魔。これまで散々悔しい経験をしてきた蛭魔だからこそ、その悔しさを噛みしめることの必要性を知っているのかもしれない。



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