「ライトアニメ」ってなに? 制作期間と費用を抑える仕組みが本格始動「アニメの現場」はどう変わるのか
ライトアニメは制作現場を変えるのか?
イマジカインフォスは、大日本印刷と業務協約を締結し、両社の強みを生かした“ライトアニメ”の制作を本格的に進めていくと発表した。今回の共同事業によって、両社はライトアニメのビジネス化を目指す。ライトアニメは従来のアニメ制作よりも制作費を10分の1に落とし、制作期間の短縮を行えるのが強み。両社は10倍のスピードでIPビジネスを展開していくと意気込みを見せる。
そもそもライトアニメとは、漫画やWEBTOONなどの素材を活用した新しいメディアのこと。吹き出しなどを削除した原稿からコマとパーツを切り出し、カラーリングを行い、モーションや2D技法を用いた映像制作手法によって作成。さらに、音声や音響効果など様々な演出を加え、構成された映像作品である。
『声優グランプリ』や『S Cawaii!』や、ライトノベルレーベル『ヒーロー文庫』を発行する出版社であるイマジカインフォスは、2023年4月から、アニメ制作部門「イメージワークス」を事業譲受により新設。出版社としての原作制作から、映像制作まで一貫した事業展開を行うことが可能になった。今回のライトアニメの共同事業では、アニメーション制作スタッフや監督などのクリエイターを起用、映像作品のクオリティを上げるべく、プロデュースやディレクションに従事していくという。
対して、日本最大手の印刷会社の一つである大日本印刷は、これまでに従来のアニメーション制作手法と比較して、かかる時間やコストを大幅に抑制できる新しいフローを開発していた。2022年8月からは、主に漫画原作などを持つ出版社、キャラクターなどのコンテンツを持つ企業向けに提供を始めた。ライトアニメ事業はその本格的な運用となり、より気軽に、早く、多様なアニメ作品を楽しみたいというニーズに対応していくという。
ライトアニメが定着していくと、アニメの制作に関わるスタッフたちの長時間労働の改善にもつながることがあるのだろうか。現在アニメーターの労働時間は、1日平均10時間程度あると言われており、休みも少なくかなりハードな業務をこなしていることが多い。 制作期間が短いことも多く、長時間労働になりやすいことが常態化していることへの解決策になるかもしれない。
今回ライトアニメのように、異なる事業者が共同で新しいメディアを生み出そうとする試みは盛んに起こっている。特に、近年盛り上がりを見せているメディアミックスは、出版社一社だけでは円滑に進まないことが多く、パートナーとなる企業とともに、それぞれの強みを活かした展開を行うケースが一般的になっている。イマジカインフォスと大日本印刷がいかなる作品を生み出していくのか、今後の展開に期待したい。