三代目JSB・ØMIが明かす、人気絶頂の裏で抱えていた孤独と葛藤 「“美しい終わり”を大事にしている」

ØMI「“美しい終わり”を大事にしている」

ØMIという1人の人間の人生を1冊に収めた

――『LAST SCENE』も、今まで多くを語ってこなかったタトゥーの話や、過去の恋愛エピソードなど、そんなことまで話しちゃうの?っていうことまで書いてありますもんね。

ØMI:僕の名前や顔だけを知っていたようなライト層の方が、どれだけこの本を手に取ってくださったかはわからないですけど、僕のことを求めてくれて、僕の音楽やライブを一緒に楽しんでくれている方達に対しては、別に何も隠すことがないなって思ったんですよね。恋愛については相手がいることなので、そこへの配慮はしましたけど、恋愛をしていた時の自分の気持ちがどうだったかというのは、別に隠すことじゃないなと思いましたし。自分の恋愛話を読んで、みんながどう思うか?みたいなことは考えなかったです。

――個人的には、ØMIさんが赤裸々に過去を語ってくれたことで、より深く楽曲を理解できたことが嬉しかったです。『After the rain』(アルバム『ANSWER...』収録)の<世界は愛で溢れている>という歌詞が生まれた背景には、ØMIさんのお祖父様とお祖母様の関係性があったんだ、とか。

ØMI:自分でも本を読み返して、自分の作る楽曲に説得力が生まれるようになったなって思いましたね。今まではパーソナルな部分をお知らせできていなかったので、曲を受け取った方は「きっと、この人はこういうふうに思ってる」とか「きっと、この人はこういう人だ」って自由に理想を作ってくれていたと思うんですよ。それが悪いことではないし、僕も世間が作ってくれた理想に対して、自分から寄せにいっていた時期がありました。でも、自分も1人の人間として良い大人になって。アーティストとしても、ベテランとまではいかないですけど、いろんな経験を積んできたと感じているので、その領域に来たからにはもう、自分のことを嘘偽りなく、何の躊躇もなく書けるなって思いました。プライベートの友達や家族も読んでくれて、「当時、そういうことを感じていたんだね」っていう素直な感想を伝えてくれたし、僕も“過去を自然と受け入れられている”という事実を自分で知れた、そんな1冊ですね。

――ご家族も読んだということは、ずっとお母様に隠していたというタトゥーに関しても、バレちゃいましたか(笑)。

ØMI:そうですね。ウチ、父親は「いいじゃん、いいじゃん!」って感じなんですけど、母親は「やめてよ。プールとか温泉とか入れなくなるよ?」ってずっと言っていて。「なんて入れてるの?」って言われたこともあったんですけど、説明するのが照れくさくて、「なんだっけなぁ……」ってはぐらかしていたんですよ。で、「もう増やさないでよ」って言われたけど、秘かにどんどん増やしていたんです(笑)。その詳細をこの本に全て書いたので、さすがに母親も諦めたんじゃないですかね。「きっとまだ増やす気でいるんだな」って思ったはず。ただ、タトゥーの1つ1つにちゃんと意味があることも理解してくれたみたいで、それも踏まえて「そういうことだったんだね」って言われて。こちらからはひと言、「まぁね」って返しました。36歳、怒られなくてよかったです(笑)。

――では最後に、読者へメッセージをお願いします。

ØMI:正直、「この本を読んで、こんな気持ちになってほしい」とか「こういうメッセージを受け取ってほしい」といったことは、一切ないんですよね。何か共感するものがある人もいるだろうし、僕の生き方を踏まえて「じゃあ、自分はこういうふうに生きよう」って思ってくれる人がいるなら、それでもいいし。もしかしたら、本当に僕のことを大好きでいてくれるファンの子が読んだら、「ショック……もう読めない」って思うかもしれないけど、僕はそれでもいいんです。それが僕が歩んできた人生だし、その時々で思ったことや複雑な心境の変化も含めて、僕だから。ØMIという1人の人間の人生を1冊に収めたので、あとは各々が自由に受け取ってくれたらいいなと思っています。

――とはいえ、この本を読んでから『三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”』を観たら、これまでとは違う気持ちでライブを楽しめそうですね。“人生一度きり”という歌詞が、より響きそう。(取材はドームツアー開催前)

ØMI:そうですね。エッセイの中でも、ステージを降りようと決意したことを書きましたけど、今この瞬間の自分がいて、これから7人でドームに挑むっていう状況を、僕自身も当たり前だとは思っていないですし、毎公演、毎回の仕事、全ての瞬間をラストシーンだと思って生きているので。僕の本を読んだことがキッカケで、三代目JSBのライブや僕の歌に対して、もう一段階深く読み取ってもらえるようになったら、エンタメに携わる人間としてとても幸せなことだなと思います。

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