『進撃の巨人』ミカサとエレンはなぜ決別した? アニメ最終回に備えて2人の関係を振り返る

決定的な決別を迎えてしまった2人

  固い絆で結ばれていたように見えるエレンとミカサだが、マーレ編を境にすれ違っていく。かつて巨人を駆逐することだけを目的としていたエレンは、壁の外に広がる世界そのものを敵視するようになり、世界に向けて宣戦布告を行う。もはやミカサにはエレンの考えていることが分からなくなり、エレンも心中を明かそうとはしない。

 「獣の巨人」ジークが仲間に加わった後は、さらにその溝が広がっていくことに。エレンは調査兵団の面々と距離を取るだけでなく、「イェーガー派」を扇動してクーデターを起こすのだった。

  クーデターの最中、エレンとミカサ、アルミンは久しぶりに対話の機会をもつ。そこでミカサは、エレンがイェレナに洗脳されたことを疑い、“本当はやさしい人間”だと訴える。しかしエレンは聞く耳をもたず、アッカーマンはエルディアの王を守るために設計された一族であり、ミカサの執着もエレンを「護衛すべき宿主」と錯覚した結果でしかないと断定する。

  そしてアッカーマン一族の習性に従うミカサを、不自由な生き方に従う奴隷と表現し、「俺はガキの頃からずっと……ミカサ、お前が大嫌いだった」と突き放すのだった。

  もっとも大切に想ってきた相手との決別に、大きなショックを受けるミカサ。マーレ軍が飛行船でパラディ島に攻めてきた際には、自身の内にあるエレンを助けたいという気持ちについて「自分の意志じゃない」と語り、思い悩む様子を見せる。

  しかしそこでアルミンは、アッカーマン一族の習性という話について「エレンの考えた嘘」だと一刀両断。またエレンは「突発性の頭痛」を根拠として、ミカサが一族の習性に操られていることを語ったが、これもアルミンは信じていなかった。アルミンは「ミカサがよく頭を痛そうにしてたことなんて、エレンも僕も昔から知ってた」として、嘘をもっともらしくするために利用しただけだと看破したのだ。

  真意が分からないまま、戦況は混沌としていき、エレンは「地鳴らし」によって人類の虐殺を始める。最終的にミカサはエレンを止めるための戦いに赴くが、その胸にあるのは「人類を救う」という目的ではなく、「遠くに行ったエレンを連れ戻す」決意だった。

  他方でエレンは、マーレに潜伏していた際、ジークに対してアッカーマン一族の習性について質問していた。しかしここでジークはエレンの仮説を真っ向から否定し、ミカサについて「お前のことが好きなだけだ」と答えている。つまりエレンはアルミンが予想した通り、嘘を吐いてミカサを突き放そうとしていたようだ。

  さらにエレンは自分が死んだ後も、ミカサたちが幸せに生きていってほしいという願いを語っていたので、本心では変わっていない部分もあるのだろう。なぜエレンはミカサたちを拒絶し、「地鳴らし」という凶行に至ったのか……。ミカサはその答えを知るためにこそ、最後の戦いに向かったのかもしれない。

  なお、ミカサはエレンから「俺はお前の何だ?」と尋ねられた際、「家族」と答えてしまったことを、今も悔やみ続けている。もっと別の答えを示していれば、運命が変わったかもしれないという後悔だ。

  2人が幸せになるためには、どんな道を選べばよかったのか。最終回で明かされる真実を見届けよう。

Ⓒ諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

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