映像化続くサスペンス漫画『マイホームヒーロー』は何がすごい? 推理マニアの主人公&鋭すぎる妻の魅力から考察
MBS/TBSの深夜ドラマ枠で放送中&2024年の映画化も決定している話題のサスペンス漫画『マイホームヒーロー』。平凡なサラリーマン島栖哲雄が、娘・零花の半グレ彼氏・延人を殺害したことから始まる、予測のつかない展開が人気を呼んでいる。本稿では、これから原作を読む人に向けて、押さえておきたいポイントを紹介しよう。
普通のサラリーマンに見えて推理マニアな主人公
『マイホームヒーロー』の主人公・哲雄は普通のサラリーマンではあるが、小説投稿サイトに10年前から50本もの小説を投稿している大の推理小説好き。そのため、作品の随所に培った推理マニアの知見が登場する。とにかく、娘の彼氏殺害と証拠隠蔽に関する判断力がすごいのだ。
まずは第一話、彼氏の延人について手がかりを探っていた際のエピソード。哲夫は、娘のマンションに延人本人が訪ねてきたため、とっさにクローゼットに隠れて電話を盗み聞きすることになる。その電話では、延人が妻の実家の財産を奪い取るために零花に近づいたことや、過去に付き合ってきた女性を殺害したことも暴露。しまいには、娘の命を奪う発言まで飛び出たことで、哲雄は延人を殺害する。
殺害後は、推理小説の知識で死体をバスルームで処理したり、スーツケースで肉片を移動させたりして、証拠を隠滅。その一連の様子は「果たして、この男は本当に初めて人を殺したのだろうか?」と疑ってしまうほど。しかし、ときに人間臭さを感じさせるため、圧倒的知識や豪胆さで解決していくクライム系作品とは異なる作風である。
妻のサポート力もすごい! 夫婦二人三脚であらゆるピンチも回避
もう一つ言及したいのは妻である、鳥栖歌仙の勘の鋭さと、サポート力だ。妻の歌仙は、夫・哲夫の殺人現場に立ち会ってすぐに状況を理解。死体処理のサポートを始めるという器の大きさを見せる。彼女の器量はそれだけに留まらず、勘の良さはさらに折り紙付き。ストーリー内でも、数々のピンチから家族を救うからである。
例えば、第5話で半グレ集団から自宅を見張られることになった際、妻は「朝からずっとモヤモヤがあるの、嫌な予感っていうか…」と、不審な車が朝から自宅の見える位置に長時間停車していることに気づく。そこから哲雄は、半グレ集団から見張られていることに気づき、見張られている理由や自分達の置かれている現状を把握することに成功する。
その後も、TV裏のコンセントにつけられた盗聴器の存在に気づくなど、勘の良さで様々な危機を回避。妻が死体を処理する際に哲雄に告げた「これが夫婦の20年目の共同作業です」というセリフは、この作品が夫婦二人三脚で娘を守ろうとする、家族の物語であることを象徴する一言だ。