【漫画】気弱で高身長な女の子が最新ゲームを通じて見つけた“絆”ーーSNS漫画『仮想戦域 ヴァルウォーズ』が熱い

【漫画】気弱で高身長な女の子がゲームをする話

 「eスポーツ」や「VR」という言葉が一般化して久しく、ゲームはエンターテインメントであると同時に、コミュニケーションを媒介する重要なツールになっている。10月中旬、X(旧Twitter)上で公開された創作漫画『仮想戦域 ヴァルウォーズ』(気弱で高身長な女の子がゲームをする話)は、設定が細かく練られた架空のゲームを中心に据え、爽快で迫力のあるバトルを描きながら、最後には「人のドラマ」が浮かび上がる読み切り作品だ。

 身長190センチと目を引く存在で、しかし引っ込み思案な女子高生・高野原優理。ある日、悩みを抱えながら歩いていると車にひかれそうになり、話題のVRゲーム「ヴァルウォーズ」の地区大会決勝に向かっている途中のエイジに救われる。そのまま観戦に訪れた優理は、欠員のトラブルに見舞われたエイジのチームで大会に出場することになりーー。

 本作を手掛けたのは、「自分も漫画で誰かの心を動かしたい」と考え、商業漫画家を目指して活動を続けている武藤シンカさん(@mitumitu_MDX)。現代的でありながら、人と人の出会いと成長を描いた王道ともいえる本作が誕生した経緯など、話を聞いた。(望月悠木)

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「人が変わるキッカケはいろいろなところにある」
――『仮想戦域 ヴァルウォーズ』制作を決めた時の状況を教えてください。

武藤:当時は商業連載を目指すために「読み切りを作らなきゃ」と思っており、その中で考えた企画の中の1つでした。

――気弱な女の子がVRのゲームを通して成長するという物語にした経緯は?

武藤:精神的に辛そうな友人がいたのですが、「楽しい思いを共有して、少しだけでも人生の楽しさを思い出してもらおう」と思ってゲームを勧めたことがあります。その結果、友人は元気を出すことに成功したことがあり、そこからストーリーを練っていきました。

――実際に優理のような人が近くにいたのですね。

武藤:はい。「人が変わるキッカケはいろいろなところにあるんだよ」ということを読者に伝えたくて描きました。

――“ヴァルウォーズ”というゲームの設定はどのようにして決めたのですか?

武藤:まず「4対4であれば少なすぎず、大きすぎず、かつ前後衛の役割次第で戦略も広がる人数だな」と思って設定しました。また、昔ゲームセンターでハマっていた協力型のオンライン対戦ゲームがありました。みんなで集まってチームを組んでワイワイ楽しんでいた時の思い出もあり、そういった経験もベースになっています。ただ、ヴァルウォーズの場合、あくまで根本にあるものは“ゲーム”ではなく“マンガ”と考えていて。当初考えたゲームの設定を必要最小限まで端折り、可能な限り簡単に、かつ勝利条件が明確になるように心がけました。

オーバーリアクションにした理由
――優理という主人公がどう誕生したのか教えてください。

武藤:とにかくギャップを意識しました。自分の好きな女の子キャラは大体“気が強い系”が多く、今回は珍しく気弱な女の子に挑戦したのですが、思いのほか楽しく描けました。「身長高い大人しい女の子けど、心の内には熱いモノも秘めていた!」という設定って可愛くないですか?

――確かに可愛いですね。また優理の可愛さで言うと、悲しんだり驚いたりした時にオーバーな表情を見せるのも魅力的でした。

武藤:優理の気持ちに寄り添って表情を描くことを意識したのが良かったのかもしれません。とはいえ、本作に限らず他の作品でも、表情による心理描写は特に意識していることです。ただ、本作に関しては、どちらかというとエンタメ要素を大きくしたかったので、読者が楽しめるようなオーバーなリアクションを多めに用意しました。

――“スポーツを通じて友情を育んで成長する”という漫画は多いです。よりフィジカルなスポーツ漫画を描くことと比較して、ゲームをメインにした本作を描く難しさなどはありましたか?

武藤:あまり難しさは感じなかったです。個人的には、ゲームにしろスポーツにしろ、突き詰めたその先には、心境の変化が起きるキッカケなどは存在すると考えています。ただ、やはり本作はオリジナルのゲームが登場するため、既存のスポーツと違い、ルールをわかりやすく説明する必要があり、そこのバランス調整は難しかったです。

――最後に今後の目標など教えてください。

武藤:今後も商業での連載を目指し、究極に気合いを入れて読み切り制作などを行います。Xでは、『仮想戦域 ヴァルウォーズ』の後に描いた作品や過去に描いた作品で、公開できるものは公開しています。今後も様々な作品を描いて発表する予定です! また、最新情報も発表していく予定なので、ぜひフォローをもらえると嬉しいです! 作品の感想やご連絡などあればDMやリプライもお気軽に!

武藤シンカさんのX:https://twitter.com/mitumitu_MDX

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