【漫画】もし8月が終わらなかったら……人気ゲーム『ぼくのなつやすみ』のバグに着想を得たSNS漫画がスゴい
ゲームのバグから着想を得た
――今回『8月が終わらない』を制作した理由を教えてください。
あおみ:本作はコンテスト用に描いたものです。締め切りギリギリだったので、1日で完成させました。また、夏の空気感が好きなので、「そういう短編を描いてみたい」という思いがあり、夏の雰囲気を反映させた作品になりました。
――その夏の雰囲気に子どもたちが閉じ込められる、という怖さを感じる設定でした。
あおみ:本作の設定は『ぼくのなつやすみ』というゲームのバグから着想を得ました。同作は8月31日までの夏休みをプレイするゲームなのですが、「8月32日をプレイできる」というバグを起こすことができます。そのバグの存在を知って興味を持っていたので、本作にその要素を入れました。
――おばあちゃんも“8月の仕組み”を知っているからこそ、自分の寿命を理解していたため、ヒカリの頭を優しく撫でたシーンが印象的でした。
あおみ:正直短期間で一気に描いたのであまり覚えていません。ただ、最初から「クライマックスはこのシーン」と決めていたシーンだったと思います。本作は「子どもたちが自分で大きな決断をする」ということをテーマに据えており、子どもたちの成長を表現するために入れたシーンです。
――8月を経験しているからこそ、子どもたち大人びて感じたのもうなずけます。“子どもたちが8月に閉じ込められる”という設定を最大限に活かした見せ方が随所に見られました。
あおみ:とにかく制作時に時間がなかったため、「テーマに沿った最低限のストーリーと演出」を心がけていました。結果としてそれが良かったのかもしれません。
――ストーリーもそうですが、作画の色使いもとても魅力的な作品でした。作画で意識したことは?
あおみ:早く描けるタッチで……という意識でした。ベタ塗りでも単調に見えない塗り方をしています。個人的にはこのようなラフなタッチは気に入っているのですが、商業的には受け入れられない場合が多いのですが……。
――ラストは夏が終わっていく切ない雰囲気が表現されていました。“8月から9月に移り変わる景色”はどのようにして描いたのですか?
あおみ:何故か小さい時から、「夏の終わり=青みがかった夕暮れ」というイメージを強く持っていました。寂しいけれど、新しいことが始まるワクワク感も含んでいる、そんな不思議な季節だと思っています。また、「湿度の高い空気感が伝われば良いな」と思って描きました。
――最後に今後の漫画制作の展望など教えてください。
あおみ:「読者により楽しんでもらえる作品を作っていければ」と思います。現在は書峰颯先生原作『だから僕達は幼馴染を辞めた。』のコミカライズ(コミックシーモア)、『ごえんのヒカリ』(宮崎県PR漫画)、『うっかり英単語をしゃべったら世界最強~古代呪文が『英語』の異世界~』(コミ勉)などの漫画を連載しています。これからも漫画の様々な可能性を試していきたいと思っています。