【web漫画レビュー】ドラマ版も話題を呼んだ『初恋、ざらり』ーー「普通」が押しつける「生きづらさ」のリアル 

『初恋、ざらり』が描いたこと

相手に気づかれない障がいがあるということ

 有紗の存在は現代社会の問題をもあぶり出す。配慮が得られるしょうがい者枠は給料が安いので有紗が無理をしてでも同僚に明かさずに勤務していること、有紗自身は世界に必要とされるには「普通」にならなくてはと願っているのに「それくらい普通はわかるよね?」と言われてしまうこと……。

 有紗は療育手帳、私は精神障がい者手帳なので異なるが、社会の求める「普通」とは何なのだろうかと考えさせられる。これは私が冒頭で述べた「努力していない」と周囲に思われていたことにも通じる。今でこそ自分に合う職業に携わることができて「努力家だね」「真面目すぎ」と言われることが増えた。そして気づいたのだ。昔から私は決して努力していないわけではなかった。応接室のテーブルが歪んでいても気づかないので、仕事終わり、何度も確認しに行った。しかし結局は「できていない。もっと努力して」と同僚に言われてしまい、それ以上どう頑張ればいいのかわからず心を病んでしまったのだと。

 有紗の努力は報われるのだろうか。できれば無料話から先も読み進めてほしい。少しでも「親しくなった相手にも気づかれない障がいがあること」のリアルを、感じ取ってほしい。

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