「本物のカタツムリは苦手…」『南国少年パプワくん』作者・柴田亜美  カタツムリキャラ「イトウくん」誕生秘話

 漫画『南国少年パプワくん』の作者、柴田亜美が10月6日にXを更新。『パプワくん』の中で何度も何度もカタツムリのキャラクターを描いているにもかかわらず、実際は「カタツムリが苦手」であるというエピソードを語った。

 柴田は、80年ぶりに光るカタツムリが発見されたというニュースを引用し、「ワタシ、本物のカタツムリは苦手だから記事の『光るカタツムリ』見たら錯乱するな。でも、エスカルゴを食べるのと絵に描くのは平気なのよ」と語った。

  柴田が描いたカタツムリのキャラクターといえば、ファンなら誰もがご存じのイトウくんである。イトウくんは『パプワくん』の漫画の第1話に登場する、パプワ島の“生物(ナマモノ)”。巨大なカタツムリである。“雌雄同体”というカタツムリならではの設定、インパクトが強烈すぎる唇と舌、ピンクがベースの身体の色―― どれをとっても柴田の造形センスが爆発した名キャラクターであり、当時の子どもたちに与えた衝撃は大きかった。それまでの少年漫画では見たこともない、唯一無二すぎるキャラクターだったのである。

  イトウくんは脇役でありながら登場頻度が圧倒的に多く、準主役的なキャラクターと言っていい。『パプワくん』のアニメーションでもオープニングに登場して踊っているし、作中ではシンタローに惚れて、思いを寄せた。愛情をぶつけるものの、シンタローからは全力で拒絶され、そのたびに蹴飛ばされたり、眼魔砲でぶっ飛ばされてボコボコにされるのだが、一途に愛を貫いた。あまりに一途なイトウくんに共感した人も多いのではないだろうか。

 ちなみに、記者は以前に柴田にインタビューを行ったことがあるが、その中でイトウくんなどパプワ島の生物たちの色彩感覚について、父の仕事の関係で幼少期に海外で生活したことが影響していると語っていた。柴田は2~3歳の時にアメリカ、5歳までカナダで暮らした。その頃に見たセサミストリートのキャラクターがまとっていた、赤、水色、黄色といった色鮮やかな色彩が、創作に与えた影響は計り知れないという。

 「子どもの頃にこんな色彩を見ていなければ、カタツムリの殻をピンクにしようとか思わないかもしれない(笑)。見えるがままに、殻を茶色に塗っていると思いますよ」と語っていたのが印象的であった。イトウくんのピンク色は、こうして生まれたのだ。改めて『パプワくん』を読み直すと、まったく内容が古びていないし、少年漫画の王道を行くストーリーと柴田の凄すぎるセンスで展開されるギャグに圧倒されてしまう。50年先、100年先も読み継がれて欲しい名作である。

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