コムドット・ひゅうがの「楽しく生きる秘訣」とは? 人気YouTuberたちが出版界で存在感
若年層から絶大な人気を誇るYouTuberグループ「コムドット」のひゅうがが、8月30日に初のフォトエッセイ『漢道』(講談社)を出版した。トーハンが発表した「週間ベストセラー<総合> 2023年9月5日調べ」では5位にランクイン。人生初の書籍は上々の滑り出しといえそうだ。
ひゅうがが所属するコムドットは、「全YouTuberに告ぐ、コムドットが通るから道をあけろ」という強烈なメッセージで大きな注目を集めたグループ。『地元ノリを全国へ』というコンセプトのもと、中学時代の同級生5人で活動し、YouTubeのチャンネル登録者数は387万人を記録している(9月15日時点)。ひゅうがはメンバーのなかで強面の見た目で知られているが、実際は穏やかで人情味溢れる、グループ内の潤滑油ともいうべき存在だ。本書にはそんなひゅうがを形作った家族や学生時代、コムドットのメンバーとのエピソードを交え、「毎日楽しく生きる秘訣」が書かれている。
本書の始まりでは、「人生最高すぎてマジずっと生きていたい」という文が目に飛び込んでくる。なんともエネルギーに満ちた一文だが、本書を読み進めると、ひゅうがのいう“最高の人生”は「大事な人と過ごすこと」「好きなことしかやらない」「目で見て、肌で感じたものを信じる」という考えにあることがわかる。世の中の大人たちからしたら、少し衝撃を受ける部分もあるだろうが、ひゅうがは長時間座っていることはおろか、YouTuberにもかかわらず動画の編集も実は嫌いだそう。それでもYouTubeでの活動を続けるのには、学生時代からの友人と一緒にいられる、その先に楽しいことがあると見据えられているからだと説明している。
本書には、勉強嫌いで学生の頃は勉強をしてこなかったことにも触れているが、この話は視聴者のなかでは知られた話。勉強ができないことが動画の企画になったこともあるが、好きな仲間と好きなことだけをやってきた結果が、いまのひゅうがを作っていることは紛れもない事実だ。さらに、ひゅうがの穏やかさのもとになっている「目で見て、肌で感じたものを信じる」という信念には、「他人のせいにしない」という考え方が含まれており、「人生の作者は自分。自分本位でいい。それが楽しく生きるコツ」というちょっとワガママにも捉えられる言葉からは、自分軸で生きることの大切さを感じられる。
今回ひゅうがのエッセイについて取り上げたが、最近YouTube業界では本を出版する動画クリエイターが増加傾向にある。昨年には発売1週間で重版5万部、累計25万部を達成したヒカルの『心配すんな。全部上手くいく。』(徳間書店)をはじめ、コムドットのリーダー・やまとの初書籍『聖域』(KADOKAWA)は、2022年年間ベストセラー(日販調べ)の総合ランキングにランクイン。人気者たちだけにそもそも注目度が高いわけだが、その販売数には目を見張るものがある。