【推しの子】番外編『-interlude-』が好評のうち完結 刺激を与え合う赤坂アカ×横槍メンゴの理想的な関係

 人気漫画『【推しの子】』(原作:赤坂アカ/作画:横槍メンゴ)の番外編となる短編『【推しの子】-interlude-』の最終回(第4回)が9月7日発売の「週刊ヤングジャンプ」に続き、14日に漫画アプリ「少年ジャンプ+」でも公開された。

 連載が佳境を迎えるなか、「週刊ヤングジャンプ」8月10日発売号より約1ヶ月の休載が伝えられた『【推しの子】』。原作者·赤坂アカの体調不良により大事をとった形だが、同時に4号連続で作画担当の“横槍メンゴ視点”で描く番外編として展開されてきたのが、『【推しの子】-interlude-』だ。

 各話、人気キャラクターを掘り下げるショートエピソードが展開され、ファンに休載のストレスをまったく感じさせなかった『-interlude-』。横槍氏が9月4日、X(旧Twitter)のスペース機能(※X上で音声を使ったリアルタイムの会話ができる機能)を使って行った配信では、赤坂氏が「メンゴ先生、今回の短編、最高です。マジで最高」と絶賛しており、公開が迫る第4話に期待が高まっていた。具体的なネタバレは控えるが、その内容は本作の主人公・星野アクアとルビーの“前世”にかかわるエピソードで、本編に大きな影響を与えるものではないが、二人の関係性に深みが生まれる、何気なくも心に沁みるものだった。

 ちなみに第4話に関して、横槍氏は前出の配信において、“横槍メンゴ漫画”の文脈で描かれた3話までと違い、“赤坂アカ漫画”の要素を意識的に取り入れた自信作だと語っていた。読者からの評判は上々で、「ジャンプ+」の読者コメントでは「アクルビは至高」「もうこの話だけ一生読む」「こんな感じの最終話が見たい」など余韻に浸る声が多く寄せられているが、面白いのは横槍氏がXで明かした、赤坂氏のリアクションだ。

 9月14日のポストによると、「4話、アカもめっちゃ褒めてくれたよーー」とのこと。一方で、「でも「俺ならこのコマこういうふうにするー」っていってたやつが「それやりたすぎた!!!」すぎて悶絶した」としており、当然と言えば当然だが、“赤坂アカ漫画”ではなくしっかり“横槍メンゴ漫画”になっていたようだ。

 それはファンにとって歓迎すべきことだろう。二人はもともと友人関係でもあり、「原作/作画」と完全に切り分けられた印象より「共作」の感が強いが、赤坂氏に「俺ならこうする」というアイデアが浮かんだということは、自身も『クズの本懐』など、ヒットメーカーである横槍氏が単独で発信する番外編ならではの魅力があった、という証拠だからだ。二人には万全の体調で連載に臨んでもらいたいという前提で言えば、「こんな機会がまたあってもいい」と思える贅沢な1ヶ月だった。

 さらに、横槍氏のポストで興味深いのは、赤坂氏の「俺ならこう描く」に対して、「漫画って奥深くて無限大で大好き 漫画描く人と漫画の話するの楽しすぎる」との感想/感謝を抱いていることだ。『【推しの子】』は物語が佳境を迎えており、すぐに最終回を迎えることはなくても、今後5年、10年と続く作品にはならない可能性が高い。そんななかで、お互いに刺激を与え合い、作家として成長を続ける横槍氏と赤坂氏がそれぞれどんな新作を作り上げるのか、期待しつつ『【推しの子】』の結末を見届けたい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる