実写『ONE PIECE』はなぜ絶賛されている?「新世代」をテーマに再構成された序盤のストーリー

実写『ONE PIECE』はなぜ絶賛?

バックボーンの深掘りで魅力を増した敵キャラたち

  そのほか実写『ONE PIECE』の改変としては、ルフィの前に立ちはだかる敵たちのバックボーンが分かりやすくなっていることにも注目したい。強迫観念の如く平穏な生活を望むキャプテン・クロや、魚人差別への復讐に燃えるアーロンなど、“悪の海賊”が生まれた背景が深掘りされているのだ。

  なにより、道化のバギーに関する補完はかなりの力の入れよう。原作の序盤では、シャンクスとの関係がはっきり明かされておらず、ルフィとの因縁も深くなかった。しかし実写版のバギーは、シャンクスに裏切られたと思い込み、主役になることに執着するようになった存在だ。この改変により、バギーというキャラクターの深みが増した上、シャンクスに麦わら帽子を預けられたルフィとのあいだに因縁が生まれている。

  さらにシャンクスの存在感も、原作より実写のほうが重みを増している印象だ。全8話のなかで、回想シーンが随所に挿入されることで、ルフィがシャンクスから受けた影響がより強調されていた。

  なにより第1話では、シャンクスの「友達を傷つける奴は許さない」というセリフが出てくるが、これは同ドラマのキーフレーズにもなっている言葉だ。各エピソードに、ルフィが敵から「仲間」(フレンド)を守るために奮闘する場面が存在しており、キャラクター性が際立つ作りとなっている。

   原作者・尾田栄一郎の監修により、大胆な肉付けが行われた実写版『ONE PIECE』。新たに紡がれたルフィたちの冒険を、ぜひ体験してみてほしい。

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