「令和版「Fate」だ!」小説家・成田良悟も推すジャンプ新連載『鵺の陰陽師』ゼロ年代”青春伝奇モノ”好きを中心に話題沸騰
個性あふれる漫画の描き手を、次々とデビューさせている少年漫画誌「週刊少年ジャンプ」。5月15日から始まった川江康太による『鵺の陰陽師』は、ここ数年の新連載のなかでも異彩を放っており、次世代の大ヒット漫画として読者から熱い視線を向けられている。
主人公の夜島学郎は、幻妖と呼ばれる生き物を視認できる特別な能力を持っている少年。ある日、桁外れの力をもつ幻妖の女・鵺と出会ったことをきっかけとして、おどろおどろしい戦いに巻き込まれていく…というのが、同作の大まかなあらすじだ。
作品のキャッチコピーとして、「退幻学園バトルファンタジー」と銘打たれていた通り、同作の見どころが陰陽師の設定を下敷きとした戦闘シーンにあることは間違いない。しかし決してバトル一辺倒ではなく、学園青春ストーリーとしても完成度が高い。むしろ学園モノと陰陽師バトルの化学反応こそ、多くのファンを夢中にさせている要素と言うべきだろう。
作中にはまるでラブコメ漫画のように、魅力的なヒロインが次々参戦してくる。ミステリアスな師匠ポジションの鵺に始まり、太陽のように明るい陰陽師の先輩・周防七咲、どこか闇を感じさせるクールな転校生の藤乃代葉……。それぞれと甘酸っぱいやりとりを繰り広げながらも、真摯に関係性を深めていく。
ヒロインたちと過ごす青春の日々と、その裏で進行する重厚でシリアスなストーリー。絶妙な配分で描き出される物語は、2000年代頃に一世を風靡した学園ファンタジー系のライトノベルや美少女ゲームに近い雰囲気を感じさせる。とくに熱心な読者のあいだでは、『Fate/stay night』との親和性が指摘されており、「令和のFate/stay night」との呼び声もあるほどだ。
『Fate/stay night』は2004年にビジュアルノベルゲームとして発売された、奈須きのこシナリオによる伝奇活劇。自己犠牲にとりつかれた少年、ひと癖もふた癖もあるヒロインたち、壮大な設定に裏付けられた世界観などが特徴だが、『鵺の陰陽師』にはその遺伝子が流れ込んでいるようにも見える。