『ONE PIECE』アイスショーで再注目! 見どころが多すぎた「アラバスタ編」を振り返る

『ONE PIECE』アラバスタ編の魅力

 尾田栄一郎による国民的コミック&アニメ『ONE PIECE』をテーマにした初のアイスショー『ONE PIECE ON ICE~エピソード・オブ・アラバスタ~』の横浜公演(KOSE新横浜スケートセンター)が8月13日、好評のうち終了。SNSではルフィ役の世界王者・宇野昌磨をはじめとする豪華キャストの演技を絶賛する声が上がっており、9月2日、3日の名古屋公演(ドルフィンズアリーナ/愛知県体育館)に期待が高まっている。

 タイトルにもある通り、今回の公演のモチーフになったのは「アラバスタ編」だ。そのスケール感からも、初のアイスショーに相応しいテーマだったと言えそうだが、ファンがそれぞれに深い思い入れを持つエピソードに事欠かない『ONE PIECE』のなかで、アラバスタ編がいまも高い人気を誇るのはなぜだろうか。

 砂の王国・アラバスタを舞台にしたこのエピソードは、単行本でいうと17巻~23巻(※王女ネフェルタリ・ビビとの出会いは12巻)で展開され、最新刊が106巻であることを踏まえると「序盤の山場」に当たる。麦わら海賊団が「偉大なる航路(グランドライン)」に入り、早々に敵対することになった秘密犯罪会社「バロックワークス」(B・W)とのエピソードを引き継ぎながら、「大国」と「反乱」というこれまでになかったスケールの物語が描かれた。

 印象的だったのは、アラバスタの王女であるビビと、気鋭の海賊団である麦わら一味の立場を超えた友情だ。いまでこそ海軍にも、国家にも共感し合える“仲間”がいる麦わら一味だが、損得を超えて深い関係性を築いた“表側”の大物はビビが初めてと言っていい。「海賊」との関係性を表に出さないよう、麦わら一味が無言で仲間の“印”を掲げた別れのシーンは、作中でも屈指の美しさだ。

 さらに、B・Wのボスであり、アラバスタ王国の転覆を企てたサー・クロコダイルの存在も大きい。これまでの敵とは格が違う「王下七武海」の一角であり、ゾロが手も足も出ずに敗北した世界一の剣豪ジュラキュール・ミホークと同格と目される相手に、果たしてルフィが勝てるのか……という緊張感は、これまでの物語にはないものだった。その激闘は、世界の海でルフィが本格的に名を上げた一戦としていまもファンの記憶に残っている。

 また、ルフィが兄・エースと再会を果たしたのもアラバスタだった。気候を操る「ダンスパウダー」という科学技術、いまも物語の鍵を握っている「歴史の本文」(ポーネグリフ)や「古代兵器」の存在もアラバスタを起点に立ち上がっており、何かにつけて思い出されるエピソードだということも人気を維持している要因だろう。

 付け加えるなら、グランドラインの過酷な気候と特殊な生態系が示されたのも、アラバスタ編の面白さだ。乾燥した砂漠気候に、高速で移動する超カルガモ、屈強なクンフージュゴン、旅人を騙すワルサギに、現地では神聖な生物とされる海獣・海ネコ、獰猛なバナナワニなど、おかしな生物が多くおり、それぞれ作品に彩りを与えている。

 「週刊少年ジャンプ」での連載が最終章を迎え、さらに大きな盛り上がりを見せている『ONE PIECE』。アラバスタ編をはじめ、過去のエピソードを振り返るいいタイミングなので、単行本を読み返してみてはいかがだろう。

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