『さみしい夜にはペンを持て』著者・古賀史健×教育YouTuber・葉一対談 ぼくたちの”悩み多き”中学時代のこと

次、走る人のために、道を整えている。

YouTuberのイメージを変えていくことと学校の先生の魅力を伝えていきたい話す葉一氏
古賀氏は小説家や作家より下に見られることが多いライターという職業をより良いものにしていきたいと語る

――2人の共通点にもう一つ、自分の職業に誇りを持ち、またさらに地位をあげたい意思を持っていることだと感じます。

葉一:その意識は強いですね。私がYouTubeで授業をはじめた10年ほど前は、教育関係者から「YouTubeで勉強を教えるなんて、ふざけているのか?」と散々の言われようだったんです。今でこそ多くの登録者の方がいてくださるので、そういう方はだいぶ減りましたが、当時は本当に辛かった。だから、できるだけぼくは他のメディアに出るときや、講演会などでは、「思ってたよりちゃんとした人なんだ」といい意味での裏切りをしたいと思っています。

 それは自分自身のためでもあるけれど、これからも増え続けるであろう後輩たちに同じ思いをしてほしくないから。後輩たちが歩みやすいように道を整地していこうという意識は強いですね。「YouTuberって意外とちゃんとしているんだ」と思ってもらうのは、私の大切な仕事かなと。

古賀:まったく同じですね。今回の本に引き寄せていうと、ヤドカリおじさんのキャラクターは、ぼくが中学のときにこういう人がいてくれたらという理想像として描きました。いまライターとして、ライティング術や取材法について本に書いたり、語っているのも「自分が20代の頃にそばにいてほしかった先輩」をイメージしてのことです。YouTuberと同じで、ライターも小説家や作家より下に見られることが多い。ぼくらがそこを整地して耕しておかないと、次に走る人たちに申し訳ない思いもある。まあ、ぼくの先輩方から、あまりに荒れ地のまま手渡された感も強いんですけどね(笑)。

葉一:あと、今後のことで言うなら、「学校の先生たちと一緒に」というキーワードを大切にしたいと思っています。それは最近、日本の教師の社会的地位がとても下がっていると思うんですね。まずブラックな労働環境などが明るみに出た。それは良かった面もあるのですが、環境が是正されるより先に「大変な仕事だ」「だからろくな教育ができていない」「だめな先生が多い」と短絡的につなげられて、そこで終わってしまっている。

 まったくそんなことありません。素晴らしい先生方が、それぞれの学校で本当にがんばっているし、すばらしい成果をあげている。ぼくのような学校の王道から外れた場所にいながら教育に関わる人間のほうが、その魅力を伝えられるんじゃないかなと考え、動き始めています。

古賀:大切な活動ですね。傍から見ても、いまは先生方がすこし窮屈に仕事している気がします。

葉一:そうなんです。親御さんや教育委員会の顔を見て仕事せざるを得ない面がある。そうじゃなくて、もっと生徒たちに、いきいきと楽しそうに授業する姿を見せて欲しい。「いきいき」って伝染すると思うんですよ。優秀ですてきな先生方がたくさんいるのに、リソースを違う方向に使っているのはどうかなと。

古賀:ぼくは本を企画したり、編集するときのキーワードが「もったいない」なんです。こんなすばらしい人がいるのに、世の中に知られていないなんて「もったいない」。そこが企画の原点になっている。スポットライトをあてるのが、ぼくらライターや編集者の仕事だろうと考えています。葉一さんがいま抱いている感覚も「もったいない」なんでしょうね。きっといい物語になると思います。

――そう考えると、今回の『さみしい夜にはペンを持て』も書くことはとても楽しくて、すばらしい体験。書かないともったいないよと伝えたかったという感じでしょうか?

古賀:そうですね。また葉一さんが最初におっしゃってくれたように、普段、本を読まない方が手にとってくれて「本っておもしろいもんだね」と思ってくれたら、それが一番のゴールな気がします。本って本当におもしろくて、手に取らないのは、あまりにもったいないですからね。

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