伊勢神宮、宮大工、中高層木造建築……ニッポンが世界に誇る「木」に学ぶ『Discover Japan』 9月号特集
谷中感応寺の五重塔建立に身命を賭す幸田露伴の『五重塔』、宮大工として木と共に生き、法隆寺の再建に懸ける思いを木訥と語り尽くした西岡常一の『木に学べ 法隆寺・薬師寺の美』……宮大工や棟梁の主眼から「木」と「建築」にまつわる小説やエッセイには、日本文化の深奥に「木」があることを教えてくれる。
さまざまに活躍を見せる大宮エリーは、日本での仕事や観光で訪ねる場所では必ずと言っていいほど神社へ参拝し、その社に鎮座する霊験あらたかな神木や大木を抱きしめることをかかさず行っているという。文豪や木に関わる職人だけではなく今、多くの若手クリエイターたちや世界からも注目を集めるのがニッポンの「木」なのだ。
そんな中でニッポンの魅力を「おしゃれ」「上質」「文化的」に再発見するディスカバー・ジャパンが発行する月刊誌『Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)』2023年9月号では「木と生きる」が特集されている。
国土の約7割が森林という資源に恵まれている日本。縄文時代の三内丸山遺跡や世界最古の現存木造建築・法隆寺にはじまり、2025年大阪で開催の日本国際博覧会でも、世界最大級の木造建築がつくられる予定だ。
木は日本文化にとって欠かせないもの。先人たちが残してくれたこの貴重な財産を、どのように未来につなげていくか。これからの豊かさのヒントは、まず“木を知ること”にありそうだ。
本特集では、熊本県で小国杉を使った地域活性の拠点として注目される「喫茶 竹の熊」といった事例紹介はじめ、身近におきたい木のアイテムやアロマ、森林を生業にする方々など、幅広くご紹介。
また日本に存在する樹木を厳選して特徴や由来を解説する「暮らしの中にある木の図鑑30」は、自由研究にも活用できる内容となっている。この夏、私たちにとって大切な「木」について学んでみよう。
■伊勢神宮の森
日本人の心のふるさと「伊勢神宮」。神宮の神域は神宮の森に囲まれており、その森では式年遷宮で用いるための200年生の檜を育成中。そんな神宮と森について紐解く。
■青森ヒバのある暮らし
青森ヒバを活用し、デザインの力で身近におきたいプロダクトに昇華させている「Cul de Sac-JAPON」。青森ヒバの魅力から、抗菌・リラックスといった青森ヒバがもつチカラ、暮らしへの取り入れ方までご紹介。デザインの目線が入ることで、木の活用の可能性が広がるという事例を紹介する。
■進化する中高層木造建築
国内外で大規模な木造建築が次々と建設され、いま木造建築が注目を集めている。時代の変化に伴い、これまで鉄とコンクリートでつくられていた中高層ビルにも木材が使われるようになった。確実に増えつつある「都市木造」は今後、社会に何をもたらすのか。木材を用いた建築の可能性を研究する、東京大学生産技術研究所の教授・腰原幹雄氏に話を伺った。三内丸山遺跡などの歴史的な木造建築も振り返りながら、未来で目指したい都市木造の姿に迫る。
■木とものづくり
触り心地や見た目でも癒される、うつわや家具、アートなど、国産材を生かしたプロダクトをつくっていらっしゃる作家さんやメーカーをご紹介。国産材から抽出した精油の商品なども取り上げている。ぜひ暮らしに木の香りを。