『水星の魔女』すべての罪を背負ったその先は……シャディクの最後、どう思う?
『ガンダム』にしてはキャラクターの死亡率が低く、比較的ハッピーエンドな最終回を迎えた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。しかしメインキャラクターのひとりであるシャディク・ゼネリに関しては、視聴者が「後味悪すぎる」「作中で一番報われているのかも」という両極端な感想を抱いたよう。いったいなぜこのような反響が上がったのだろうか。
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ひとりだけ報われない結末だった?
シャディク・ゼネリは主人公たちが通う学園の上級生で、大きな権力を持つグラスレー社の御曹司。ヒロインであるミオリネとは旧知の間柄であり、飄々とした振る舞いをする色黒長髪の青年だ。
恵まれた人間にみえるシャディクだが、実は経済的な格差から対立している宇宙居住者(スペーシアン)と地球居住者(アーシアン)のハーフ。スペーシアン側の代表格であるグラスレー社の養子となったものの、元々は戦争孤児を集めた教育機関・アカデミーの出身だった。
同じアカデミー出身の少女たちと、「地球と宇宙を対等に」という目的でテロを起こしたシャディク。しかしその企ては、ミオリネたちによって途中で阻まれてしまう。3年後を描いた最終話では直接関わっていない事件の罪も背負ったシャディクが、公判へ向かう様子が描かれている。
多くの被害を出した事件の罪を、すべて自分ひとりで背負う選択をしたシャディク。公判前に面会に来たミオリネに「さようなら」と告げたこともあり、シャディクの今後に関して「起こした事件の大きさを考えると、シャディクって極刑は免れないんじゃ……」「最悪死刑の可能性もあると思う」と考える人も多かったよう。
さらにシャディクと一緒に事件を起こした少女たちや黒幕である主人公・スレッタの母が普通の生活を送っていることから、シャディクが罪を背負ったことでほかのキャラクターたちの罪が軽くなっているのではないかという意見も。そんなシャディクの姿に、視聴者からは「みんな幸せになったのにシャディクひとりだけが不幸なの結構モヤモヤする」「『さようなら』があまりにも切なすぎるでしょ」といった声が上がっていた。
本人の心境的には報われているのかも……?
ひとりだけ不幸になったようにみえるシャディクだが、一方で「シャディクが掲げてた目標からしたら、なんだかんだかなり上出来なのでは」「目的を果たしたうえで愛した女と仲間を守り切って満足した男だよ」という真逆の感想も。
シャディクはテロを起こした先の結末として、強大な力を持つスペーシアン側の企業・ベネリットグループの解体を狙っていた。シャディク自身は目的を果たせずに拘束されるが、最終話ではベネリットグループの総裁となったミオリネがグループの解散と総資産の地球圏への売却を宣言。シャディクの目的は果たされることになる。
また作中ではシャディクがミオリネに対して、恋心を含む執着心を抱いているような描写が。面会に来たミオリネに満足げなほほえみで「さようなら」と告げていたこともあり、「すべての罪を背負うことで仲間とミオリネの未来を守ったんだろうな」「本人的には満足そう」と考える視聴者もいるようだ。
作中ではシャディクがどのような判決を受けたのかは描かれていない。しかし視聴者の多くが、シャディクにはなるべく幸せになってほしいと願っているのではないだろうか。