【漫画】生涯独身を決意した女子、“恋愛禁止シェアハウス“で出会ったのは……『ラブミーテンダーにさようなら』が笑えてエモい

【漫画】ラブミーテンダーにさようなら

 人気コミックアプリ「LINEマンガ」で連載され、先日、大好評のうちに完結を迎えた大人のラブコメ『ラブミーテンダーにさようなら』(明生チナミ)。恋に疲れた主人公・牧村幸恵(27)が“恋愛禁止シェアハウス”に入居するところから始まる、大いに笑えて大いに共感できる作品だ。

 シェアハウスで出会うのは、三股ナルシストの高瀬、セフレ至上主義者のモカ、「無害男性」とお墨付きの隣人・丹羽など、多様な恋愛観を持って生きる男女。この不思議な共同生活のなか、幸恵は新たな恋愛を見つけることができるのかーー。

 7月14日に第5巻が発売され、さらに話題になっている本作。本稿では第一話を掲載するとともに、作者の明生チナミ先生に制作の背景を聞いた。(編集部)

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©Chinami Akio/LINE Digital Frontier
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「そもそも恋愛って必要かな?!」

ーー明生先生のこれまでのキャリアと、『ラブミーテンダーにさようなら』の連載に至った経緯を教えてください。

明生:2015年に集英社「別冊マーガレット」から漫画家としてデビューして、2020年からLINEマンガで『ラブミーテンダーにさようなら』を連載開始しました。ちなみに先ほどchatGPTに聞いたら明生チナミの動向は「2019年以降データがないので自分で検索してください」と言われました。

ーー物語のコンセプトはどのように決めていきましたか。

明生:今まで学生向けの恋愛について真剣に考え過ぎてコメディを生むようになっていたのですが、いざLINEマンガに出すぞ!と、大人向けの恋愛について考えた時にますます世界が広がり途方に暮れ……更にちょうど周囲が適齢期とキャリアの狭間で悩み始めた時期だったので「そもそも恋愛って必要かな?!」という考えにもなり……そこからこの話が生まれました。

ーーコメディ要素も面白く、エンタメ感のある怒涛の展開も楽しい本作ですが、明生先生の「人」や「恋愛」に対する視線がとても優しく感じられ、それが各エピソードに繊細さやリアリティを与えているように思います。細かなエピソードを描いていく上で、どんなことに注意していますか。

明生:ありがとうございます! 昔より恋愛の形が自由になったがゆえにどんどんわからないねぇ~と毎回描き手側としても冷や汗かきながら、編集さん、読者さん、そして漫画のキャラクター達と相談するような気持ちで、なるべく答えを一つに絞らないようにしています。

 1話で幸恵が「ひとりで生きて行けそう」と同僚に言われて喜ぶシーンがあるのですが、このシーンもそう言われて傷つく人もいれば逆に希望を見出す人もいて良いのではないかと思って描きました。

ーー幸恵がナショジオ(ナショナルジオグラフィック)好きで、ちょこちょこ動物知識を披露するのがツボでした。「家でナショジオ観てる方が100倍有意義だ」というところからの一貫性がキャラクターを立体的にしていると感じますが、幸恵のキャラクター造形はどのように進めたのでしょうか?

明生:幸恵は恋愛=幸せについて疑問をもつキャラクターなので、悩み過ぎて「人ってめんどくさいなぁ……」という境地に至ってるのではと思い、本能で生きている動物を愛しているキャラクターにしました。実際自分の周りのいわゆる人嫌いというか対人関係が苦手な方は物凄い愛犬家だったりするので、不器用で愛情深いキャラになったらいいなと。

ーー脇を固めるキャラクターもそれぞれ魅力的です。一言に「恋愛」といっても、奔放派には奔放派の、慎重派には慎重派の考えと悩みがあることが伝わり、尖ったキャラクターたちにも感情移入することができますが、主要キャラクターたちの誕生秘話や、キャラの「バランス」についてのお考えを聞かせてください。

明生:バランスについては読んでくださる方それぞれ共感できるキャラがいたら嬉しいなと、色んなタイプを登場させました。ただあれやこれやと登場させすぎると私自身も制御出来なくなるので、1番行動が読めない人と、1番わかりやすい人で両脇を固めようと思いまして……それが丹羽と高瀬です。

 丹羽については担当さんと「最近あの子大丈夫ですかね……?」と進路を心配する担任副担任のように頻繁に会議していました。逆に高瀬のようなサービス精神が空回りしているタイプは、自分にも覚えがある部分が多くて描きやすくて助かりました。

ーーネタバレは控えますが、最終話の“告白”は素直な言葉で、「自分の幸せは自分で決められる」という気づきに寄り添った素敵なものでした。本作を通じて、読者にどんなメッセージを伝えたいと考えていましたか。

明生:「幸せの形が違っても良い」と、正解のないホワッとした部分にあまり悩まず楽しんで欲しいと考えて描きました。ただそれもそれぞれの感じ方で受け取っていただけると嬉しいです。

ーー新作のメモも公開され、期待が高まってしまいます。「まったく違うものになる可能性も」ということですが、差し支えない範囲で次回作の構想についても聞かせてください。

明生:こちらについてはそのーーーー本当に二転三転七転び八起きと言いますか……皆さまに楽しんで貰えるものになるように鋭意製作中です。楽しみにお待ちいただけると幸いです!

ーー少年漫画誌もふくめ、「恋愛漫画」に注目が集まっている昨今ですが、明生先生がお好きだったり、影響を受けたと思われる作品があれば聞かせてください。

明生:好きな恋愛漫画!! ひゃだ……あり過ぎて一つに絞るのが難しい!!と、おもんない答えにしないように体育座りで頭を抱えて10分くらい考えたのですが……。すみません、あり過ぎて一つに絞るのが難しいです!! でも学生時代は70~80年代に流行っていた少女漫画が大好きで絶版になっている本などを集めるためにバイト代を全部使ったりしました。その年代の漫画から学んだ事が多かったので、自分の漫画もネタが古……昭和チックな時があるかと思います。

ーー最後に、これから本作を楽しむ読者と、すでに完結まで応援したファンに、それぞれメッセージをお願いいたします!

明生:これから読む方にはぜひ1番自分と考え方が近い、もしくは違うキャラクターを見つけて楽しんでいただければ幸いです。完結まで読んでくださった方には……感謝のチッス(大丈夫、遠くからの投げkiss)。

『ラブミーテンダーにさようなら』第5巻発売中


LINEマンガで読む:https://lin.ee/aFjIigg/pnjo
電子単行本:https://lin.ee/c3v33V8/pnjo
©Chinami Akio/LINE Digital Frontier

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