【LINEマンガ】ハッピーエンドをお約束！？『義実家に執着されています』義実家に溺愛されまくるまでを描いたタイムリープ×ダークファンタジー

　結婚を機に今まで赤の他人だった人たちが家族になる。果たしてそれは本当に家族なのかと、いつの世も複雑な議論や問題が起こりやすい......それが義理の家族だ。本作では、そんな義家族がテーマであり、しかも『義実家に執着されています』ときたら、どんなにドロドロとした人間模様が広がっているのだろうかとつい怪訝な思いを抱いてしまう。だが本作においてそんな心配はご無用、なぜならプロローグで既に“ハッピーな未来”が約束されているからだ。

　物語の舞台は、webtoonにはよくありがちな中世ヨーロッパの雰囲気が漂う世界。そこで、ごく平凡な令嬢として暮らすペレシャティが本作の主人公だ。早くに両親を亡くした彼女は、恋人のシーフ、そして心優しい継母・妹と助け合って暮らしていた。いや、そう思っていたのはペレシャティだけ。ある日ペレシャティの遺産を狙い結託したシーフ・継母・妹によって殺されてしまう。

  ーー死んでも忘れない。かつては愛していた家族たちを憎みながら死んでいったペレシャティだが、なぜか奇跡的に少し前の過去にタイムリープし、もう一度人生をやり直せることに。今回の人生では自分の命と遺産を守ることを決心したペレシャティ。彼女は、協力者を求め、形だけでも良いからと権力者の元に嫁ぐ計画を試みる。その相手に選んだのが“呪われた一族”と忌み嫌われているラピレオン大公だった。

　この後は、ペレシャティがラピレオン大公と結婚し、義家族と共に暮らす日々などが展開されていくが、どんなに彼女が過酷な目に遭おうとも、私たちは安心して読み進めることができる。いや、むしろペレシャティが悲惨な状況に見舞われるほどに「ここからどう巻き返す！？」と、嬉々としてしまうのだ。なぜなら、冒頭で述べた通り、彼女がハッピーな愛される未来を迎えることはプロローグの時点で約束されている。

　そこで描かれているのは、とある社交界に参加している女性たちの様子。一見華やかそうに見えるが、そこにいる名家の御令嬢、御婦人たちの話題はもっぱら義実家の悪口や悩み。そんな中、ペレシャティは周りの女性たちとは一味違う悩みで顔を曇らせている。なぜなら、彼女は夫であるラピレオン大公はもちろん、義姉、養子、そして義母......みんなに愛されまくっているからだ。なぜかよくわからないけれど、義家族みんなペレシャティのことが大好き......そんな嫁への溺愛っぷりを感じるプロローグなのである。

　物語がどうなるのかわからない。それでも、ハッピーエンドを信じてひたすら突き進む主人公を読者が応援するタイプの作品は数多く存在するけれど、本作では最初からとびっきり幸せなその後の展開を読者に提示してくれている......。最初から展開が分かっている物語には興味をそそられないという読者もいるかもしれない。けれど1話、2話と本編を読み進めていくと、どう頑張ってもプロローグの通りにはならないだろうという暗雲立ち込める内容が続く。その不穏さと言ったら、もはやプロローグを何度も読み返して安心したくなるほどだ。

　義実家に溺愛されている、という稀有な状況だけではなく、斬新なストーリー展開で読者を魅了する『義実家に執着されています』。その他にも、“呪われた一族”と忌み嫌われているラピレオン大公は、この“一族の血に触れると物理的に死ぬ”という総大なダークファンタジー的展開を思わせる設定付き。新感覚のwebtoonをお探しの方はぜひ読んでみてほしい。

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