書店減少の切り札となる? ”地方のマチの本屋さん”にローソンと日販が注力する理由

  地方の書店が閉店するニュースが報じられる中、書店減少の問題に一石を投じる取り組みとなるか――。2023年7月7日、日本出版販売(以下、日販)はローソンと連携し、北陸地区で初の「LAWSONマチの本屋さん」として「ローソン越前芝原店」をオープンした。

 「LAWSONマチの本屋さん」は、2021年からローソンと連携して展開する書店併設型店舗。2021年6月、埼玉県狭山市に1号店をオープン以来、着実に店舗数が増加している。

  コンビニの機能については、基本的には従来のローソンと同様だ。弁当、おにぎり、デザート、ベーカリー、飲料などが充実している。それに加えて、約6000タイトルの本や雑誌を大々的に取り扱う。コンビニでは昨今、雑誌のスペースが縮小される傾向にあるといわれるが、そんな中でローソンの方針は画期的といえる。

  しかも、約6000タイトルであれば中規模な書店と同等といってよく、必要十分すぎる品揃えだ。なにより、日販の流通網のおかげで、最新の雑誌などがスムーズに入荷することも期待される。利用者にとって圧倒的に利便性が高い。

 福井県越前市においても書店は年々減少(3年前と比較して約5割の減少)しており、「ローソン越前芝原店」は、書店閉店の跡地での出店となっている。日販も書店の軒数が減少している状況を危惧しており、社を挙げて、街に書店のある風景と誰もが自由に本と触れ合える環境を守ることに取り組んでいるという。その一つが、「LAWSON マチの本屋さん」といえる。

  出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によれば、書店が一つもないいわゆる“書店ゼロ”の市区町村は約26・2%にのぼるという。今後、電子書籍の普及や長引いたコロナ騒動の影響もあって書店の閉店は加速するものと思われる。こうした日販とローソンの取り組みは、地方の文化水準の向上や、情報インフラの維持においても重要といえる。

  今後も日販とローソンは、地域のお客様の利便性向上を目的として、書店が少ないエリアを中心に、地域に根差した個性ある「LAWSONマチの本屋さん」の出店に取り組んでいくという。店舗によってその雰囲気は様々で、将来的には地域により根差したイメージの店舗もできあがるのではないかなどと、期待も膨らむ。「LAWSONマチの本屋さん」の今後の広がりに期待したい。

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