『ONE PIECE』バギーの株が急騰中 さらなる活躍の鍵を握るのは「バラバラの実」の覚醒か
「週刊少年ジャンプ」での連載が最終章に突入し、さらに大きな盛り上がりを見せている国民的コミック『ONE PIECE』。毎週のように、これまでは活躍が限定的だった重要キャラクターたちが登場し、長年作品を追いかけてきたファンの胸を熱くしているが、最新話で大きく株を上げたのが序盤から特異なポジションで物語にかかわってきた「バギー」だ。
具体的なネタバレは避けるが、自身が表向きのリーダーになっている「クロスギルド」(CROSS GUILD)で、元王下七武海のサー・クロコダイルと世界一の剣豪であるジュラキュール・ミホークという実力者にいいように使われながら、ビジネスライクな彼らと明確に違う思いを吐き出したバギー。あらゆる意味で「道化」という言葉がぴったりくるキャラクターだが、「海賊王」へのロマンを体現するキャラクターになる可能性も生まれてきたなかで、今後どんな活躍を見せてくれるのか。
「バラバラの実」というユニークな能力を持つバギーは、物語の序盤、ルフィが初めて対峙した自分以外の悪魔の実の能力者だ。ピエロのようなビジュアルと、体のパーツを自在に分離でき、斬撃が効かないというユニークな能力、また卑怯・卑劣だが結局は憎みきれないキャラクターで存在感を示し続け、気がつけば「(新)四皇」の座まで手にしている。同じく初期から登場している“(元)ヘタレ”キャラで、信念と情熱で英雄になった海軍(※現在は遊軍のSWORD所属)のコビーと好対照な存在だ。
かつては海賊王=ゴール・D・ロジャーが率いる「ロジャー海賊団」で見習いをしており、シャンクスとは腐れ縁だ。ルフィとも因縁があり、物語上、優遇されてしかるべきポジションにあると言える。その上、作中最強クラスの強運とタフネスを持っているのだから、激動の大海賊時代をしぶとく生き抜き、現在の地位を獲得してしまったのも納得がいく。
問題は、今後さらに激化していくだろう大物たちのバトルでどんな存在感を示し得るか、ということだ。現状で戦闘に長けているとは言い難いバギーが、クロコダイルやミホークを差し置いて大ブレイクするとすれば、悪魔の実の「覚醒」が条件になるだろう。何かのタイミングで「覇王色の覇気」に開眼する……という展開も熱いが、シャンクスのようなカリスマにはなりづらいキャラクターなので、純粋な能力の拡張が現実的に思える。
ルフィ(ゴムゴムの実)やカタクリ(モチモチの実)など、すでに悪魔の実の能力が覚醒しているキャラクターを見ても、「周囲に能力を波及させる」という進化を遂げるケースが多い。そうしたときに、バラバラの実の覚醒はかなり脅威だ。周囲をゴムやモチ(餅)のような性質に変化させる以上に、「バラバラにする」ことができるとしたら、戦場でより支配的な能力を発揮する可能性がある。「船や建物をバラバラにする」だけなら、ミホークの剣術でも十分にできそうだし、クロコダイルの砂嵐(サーブルス)でも似た効果が期待できそうだが、バラバラの実の場合、予備動作なしに、モノの材質や構造を問わず広範囲に影響を与え、さらに再構築できそうな汎用性の高さがある。ゴムゴムの実に負けない“ふざけた能力”になる可能性があり、実現すればかなりのインパクトがありそうだ。
いずれにしても、初期から登場しているキャラクターが最終章に向けてよりコミットしていくのは、ファンにとっては盛り上がるポイントだ。再登場を期待したいキャラクターはまだまだいるが、陽気で海賊らしく、しかし小心者でどこか共感もしてしまうバギーがどんな活躍をしてくれるのか、楽しみは尽きない。