ファンタジーでよく見る設定「魔術」「魔女」「悪魔」を考察

「魔術」「魔女」「悪魔」を考察

■悪魔との契約

 悪魔憑きと同じく、悪魔と何かしらの代償の代わりに契約を交わす設定はフィクションでよく見られる設定だ。

 アニメ化もされた(星野真・著)『ノケモノたちの夜』は正統派なファンタジーで近年の作品でのその典型的な例だ。

 悪魔と契約し、何かを得たとの逸話は多い。

 『東西不思議物語』(河出書房 澁澤龍彦(著))ではジュゼッペ・タルティーニのヴァイオリンソナタ ト短調『悪魔のトリル』はタルティーニの夢に出てきた悪魔が弾いた曲が元になっている、とのエピソードが紹介されている。

 中世ドイツのファウスト伝説はクリストファー・マーロウの戯曲『フォースタス博士』、ヨハン・ヴォルガング・フォン・ゲーテの戯曲『ファウスト』など多くの創作で題材になっている。

 『ノケモノたちの夜』のヒロイン、ウィステリア・ラングレイは目と引き換えに悪魔マルバスと契約したが、悪魔契約の代償は魂が相場だ。(ちなみにマルバス、ナベリウスなど同作に登場する悪魔の名前は魔術王ソロモンが封印した72柱の悪魔の名前に由来する)

 ファウスト伝説のヨハン・ゲオルク・フォン・ファウストは悪魔との契約で24年間、悪魔の助けを受けて様々な享楽を手に入れたが、最後は悪魔に魂を引き渡す取り決めになっていた。

 24年の契約期間が終わった日の真夜中、激しい嵐で宿屋の建物が揺れると、ファウストの叫び声が響いた。

 翌朝、ファウストの肉体はバラバラになって屋外の肥やしの上に散らばっていたという。

 ブルース歌手、ギタリストのロバート・ジョンソンは驚異的な演奏テクニックの持ち主だったが、27歳で不審死している。

 早死にしたのは「十字路で悪魔に魂を売り渡して、その引き換えにテクニックを身につけたせい」という伝説がまことしやかに語られている。

 悪魔は無償で何かはしてくれない。何故なら悪魔だからである。

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