フリーメイソン、世界一有名な秘密結社はなぜ“陰謀論“で語られる? 歴史と理由を考察
■フリーメイソンと陰謀論
さて、フリーメイソンが陰の権力者であるとの設定も飽きるほど見た設定だが、元もと実践的なギルドに過ぎなかったフリーメイソンの陰謀論的なイメージはどこから来ているのだろうか?
そのイメージもオカルティックなイメージと同じく後付けのものであり、出所の歴史は、実はかなり浅い。
時は1826年。ニューヨーク州バタビアのロッジに所属していたウィリアム・モーガンがデイヴィッド・ミラーという印刷業者契約してフリーメイソンの暴露本を出版すると宣言した。
ところが同じ年にミラーの印刷所が火事になり、モーガン自身も負債が原因で逮捕される。後にモーガンは釈放されるが、何者かに拉致されて行方不明になり、彼の拉致に関わったとして6人のフリーメイソン会員が逮捕されている。
この事件がフリーメイソン=陰謀の起源である。
この辺りの過程はレッカ社『中二病大辞典』に簡潔にまとまっている。
もっとも、フリーメイソン会員がアメリカ建国に関わっているのも事実といえば事実で、初代大統領のジョージ・ワシントン(1732-1799)を初め10人以上のフリーメイソン会員が大統領になっている。ホワイトハウスの建設も1ドル紙幣のデザインもフリーメイソン会員たちで、アメリカ政府を操っている噂はあながち嘘とも言い切れないかもしれない。
フリーメイソン内には高位の会員しか入れない組織があり、その秘匿性も陰謀論者の心を揺さぶっているのだろう。